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NOIZ NOIZ NOIZ

1999年スタートの特殊音楽個人サイト http://www.noiznoiznoiz.com/ からこちらに移動してきました

9/2 『バンコクナイツ』クランクイン直前スペシャルイベント 爆音『サウダーヂ』&<モーラム!〜Isan Base Culture〜>

■『サウダージ』『国道20号線』の空族がいよいよ新作『バンコクナイツ』の撮影に入る。ということでその前哨戦的なイベントが渋谷WWWにて。ちょうどぼくは今月バンコクに行く予定なのでタイミング完璧!と思って観に行きました。

www.kuzoku.com
www.bangkok-nites.asia


■スタート時間をちょっとすぎて会場に入ると、「特報」映像が上映中。ロケハン風景なんかとともに「クラウドファンディング」のお報せが入る。なんでも「クランクインと同時にクラウドファンディングの募集開始」という「怒りのデスロード」スタイルだとか(笑)。本日はこのお知らせがメインなわけですね。


バンコクナイツ特報 - YouTube

■まずは空族の富田監督、そして『サウダージ』を絶賛し、その時点で空族の次回作には出資をすると公言している菊地成孔さん、それにboid樋口泰人さんの3名によるトーク。けっこう菊地さんがナイスアシストというか、監督がテンションは高いものの基本的にグダグダなので(笑)テキパキと進行役&説明役を買って出ている。
中央に対する抵抗の地である「イサーン」地方について(映画も「バンコクナイツ」と言いつつイサーンも出てくるとのこと)。イサーンの森林地帯に今も残るベトナム戦争での空爆の傷跡(クレーターみたいになってる場所がボコボコあるらしい)。
ベトナム戦争というとついついアメリカの話だと思いがちだが、米国の同盟国(まあ属国ですよね)であるアジア諸国におけるベトナム戦争というのはあまり語られることがない。最近ようやく韓国映画でそういうのが出てきたとか。当時タイはベトナム従軍兵のための「レスト&レクリエーション」の場となっており、バンコクがやたらに売春が盛んなのはその頃の名残なのだという。
で、そういうところにいるのはだいたいがイサーン地方からの出稼ぎなわけで、タイ国内での中央>イサーンという格差がここに現れていると。

■続いてはDJチームsoi48の面々が登壇してタイのヤバい音楽「モーラム」紹介。これも基本的にはイサーンの音楽。もともとは語り芸による伝統音楽で、ボーカルと笙みたいな楽器で演奏される。で「型」兼「曲」みたいなのが大きく分けて二十数種類、こまかくわけると滅茶苦茶たくさんあるという。バックバンドが変わってもボーカルの「節」が一緒なら同じ「型」。これはわかりにくいんだけど、河内音頭で歌詞が変わったりバックが変わったりしても河内音頭なのと似た感じ?という説明があった。
で、60年代から米軍経由でエレキギターやベースが導入される。ここでもベトナム戦争が関係してくるわけですね。そこで伝統音楽とポピュラー音楽が理想的に融合し、そのままクラブで使えるヤバいグルーヴの音楽だとしてDJたちが現在血眼で探しているのだそうだ。
で、『バンコクナイツ』にはそんなモーラムの歌手で人間国宝みたいになってる人が出演するのだという。もともと彼女のデビュー・アルバムに入ってた曲のひとつが世界的にクラブヒットしたのがモーラム評価のきっかけらしい。
バンコクナイツ』の音楽はsoi48が担当するそうなのだが、映画のサポートも兼ねて今後隔月で再発リリースしていくそうで滅茶苦茶楽しみ。ちゃんとライセンスを取ったそうです。

SOI48: BANCHOP CHAIPHRA [YA DOEN SHOW] c/w SAMAI ONWONG [SAKURA LA KON] 7"

なお、タイ国内ではイサーンとバンコク周辺(中央)では言語も含めてカルチャーが全然違うらしい。モーラムは完全にイサーン文化。イサーン人は娯楽や文化が好きで、昔から貧しくても安い給料からレコード買っちゃうような人たちなのだという。で、貧しい人が買うから7インチ文化なのだという説明は目からウロコだった。インドネシアとかはやはりレコードというのは富裕層の娯楽なのでLP中心なのね。台湾には7インチが全然ないという話もあるけど、やはりそういうことなのかしら。
今でもタイの音楽産業では、中央の比較的豊かな層はスマホYouTubeとかで音楽を楽しむようになっちゃってるので、CDは完全に貧しい層をターゲットにしているという。それはイサーン向けというのとほぼイコールなんだそうだ。
実際に人間国宝歌手が村祭りみたいなので歌ってるシーンも上映されたんだけど、これがもう完全にフェスとかレイヴみたいにになっている。これは行ってみたいね!

■最後は『サウダージ』の爆音上映。考えてみたらこの時点でタイからの出稼ぎの女の子が出てたんだな。低音がものすごくて、特に「わがままジュリエット」の場面は本当に凄かった。あそこは爆音が凄いからこそよけいにその後の静寂が際立つね。

■ということで、『バンコクナイツ』超楽しみです。クラウドファンディングも開始が待たれる。限定公開の面白映像とかが特典になるみたい。