NOIZ NOIZ NOIZ

1999年スタートの特殊音楽個人サイト http://www.noiznoiznoiz.com/ からこちらに移動してきました

6/7 Maria Schneider Orchestra at Blue Note Tokyo

現代ビッグバンドジャズの至宝、マリア・シュナイダー率いる楽団が来日。正直このところ金欠なのでブルーノートはちょっと厳しいのだが、幸い結婚式の引き出物のカタログの中にブルーノートで使える金券というものをいただいたのでこれ幸いと夫婦で行ってきたのである。


とか言いつつぼくは彼女の良いリスナーではなくて、名前は(『JTNC』なんかで読んで)知ってたものの、ちゃんと聴いたのはボウイがベスト盤『Nothing Has Changed』をリリースした際に収録された新曲「Sue」が初めて。ちなみに今回のメンバーには『★』にも全面的に参加しておりつい最近ソロでも来たばかりのダニー・マッキャスリンも参加している。ということで、まあボウイつながりで興味を持った次第。

当日は普段は数人しか上がらないステージに、3段の雛壇みたいな形でずらりとミュージシャンたちが並ぶ。総勢19名。編成的にはトロンボーンが4人もいるのと、アコーディオンがいるのが面白いと思った。
サックス5名、トランペット4名、トロンボーン4名が上手に3段に並び、下手にピアノ、アコーディオン、ギター、ベースが並ぶ形。ビッグバンドというとスイング時代のイメージというか、管楽器勢がユニゾンでブワーッとぶっ飛ばすみたいなイメージが強いけれども、このオケの場合は非常に繊細なアンサンブルを奏でる。
クラシックのスコアリングに影響を受けた複雑なスコアというのが現代ビッグバンドの潮流としてあるらしいのだが、複雑さをひけらかすわけでもなく終始美しく、普通にうっとり聴けてしまう。クラシックと何が違うのかというと、おそらく演奏するプレイヤーを具体的に想定して、いわゆる「あて書き」的にアレンジされているところがジャズならではなのではないかと思う。曲によって楽器を持ちかえる(正確には覚えてないけどアルトサックスとクラリネットとか、テナーサックスとバスクラとか)プレイヤーいるのもクラシックだと多分あんまりないことだろうし、ソロイストも曲によって変わる(全員がソロを取れるように毎日セットリストが変わるのだそうだ!)。ソロといえば最前列のダニー・マッキャスリンが他の人のソロをうんうん頷きながら聴いてる姿が印象に残ったな。
特に個人的に面白かったのは最後に披露された新曲で、曲紹介の際には「AIについての曲」と言っていた。それまでの曲と比べてどこかダークで、ディストピア的なビジョンがベースにあるのだと思われる(なんでも、ボウイの影響でダークな世界に興味を持ったのだそうだ)。この路線で新譜が作られるのがとてもとても楽しみ。

なお、各晩につき2回公演ある関係で1回ずつが短かった(1時間半くらい)のがちょっと残念ではある。内容は濃かったからいいんだけど、もうちょっと聴きたかったなあ。

Sky Blue
Maria Schneider
B000UD1VLO