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【18冊目】ラグナル・ヨナソン『闇という名の娘』

北欧(アイスランド)のミステリ。アイスランドというとビョークくらいしか思い当たらないが、基本的に犯罪が少なく、殺人事件などは年に1回もあるかどうかというくらいだという。

65歳の定年を間近に控えたベテランの女性刑事がある日上司に呼び出され、若手に席を譲るために担当している事件を手放し退職を早めるよう宣告される。退職までの残された僅かな時間(2日!)、せめてもの、ということで未解決事件の捜査を行うことにして、ロシア移民女性の不審死(自殺として処理されていたもの)について調べだしたのだが……。

主人公の刑事の視点(捜査を進めつつ、ついつい定年後の人生について思い巡らせたりする感じがリアルだなと思った)のほか、正体を明かされない複数の視点(徐々に明らかになっていく)による断片を挟みつつ、後半でものすごく意外な展開を見せていく。タイトルの意味をはじめ、これこそ「ネタバレ厳禁」というタイプの本なので詳述は避けるが、短いながらもすごく精巧に組み立てられた傑作。ラストは重いながらも大変に面白かった。

三部作ということなので、続巻も楽しみ(重くなりそうだが……)。