愛しのゴースト
日本でいうと「東海道四谷怪談」にあたるのだろうか、タイの国民的怪談「メー・ナーク・プラカノン」という幽霊話を映画化したもの。
映画「愛しのゴースト」予告編公開 「アナ雪」押さえ、タイで歴代興行収入1位に - YouTube
もともとタイでは幾度となく映画化されている話で、2013年リメイクの今作はタイ映画市場最大のヒット作だという。本来は、産褥で死んだ女の幽霊が夫に取り憑いて...という話なのだが、ちょっと捻った作りになっている。
演出的にJホラーの影響が感じられるあたりも興味深いが、それでいて随所に香港映画にも通じるしょうもないギャグがちりばめられているのがタイ流らしい。この辺、四方田犬彦『怪奇映画天国アジア』に超詳しく書いてあります。ていうか、同書によれば現代タイ映画を語るうえで欠かせない作品のはずなんだが、邦題が全然違うんで見るまで気づかなかった。「あ、これあの本に書いてあったやつじゃん!」という。
ともあれ、「えっ?」と思うようなラストも含めて個人的には好きな映画だが、これがそんな歴史的大ヒットというのはにわかに信じ難い。でも『タイタニック』より『アナ雪』よりこっちのほうが人気のある国っていうのはぼくは好きです。
怪奇映画天国アジア
四方田 犬彦