NOIZ NOIZ NOIZ

1999年スタートの特殊音楽個人サイト http://www.noiznoiznoiz.com/ からこちらに移動してきました

【13冊目】四方田犬彦『先生とわたし』

  • 由良君美というとぼくが最初にその名を意識したのは卒論執筆中のこと。デヴィッド・ボウイのSF作品をニューウェーブSFおよびメタフィクションとして読む、みたいな内容の卒論だったので、巽孝之やラリイ・マキャフリイなんかを参照していたわけなのだが、そんな中で読んだのが『メタフィクション脱構築』だった。当時、日本人による本格的なメタフィクション論というと、これと巽孝之メタフィクションの謀略』くらいしかなかったんじゃないかしら。
  • さて、本書は由良君美の弟子のひとりである四方田犬彦によるメモワール。前半の由良ゼミの雰囲気は、ぼくからするととても憧れたけれど自分がそこにいることは叶わなかった風景という感じでとても楽しく読めた。
  • しかしながら、四方田が独り立ちするにつれ、やがて師弟の関係はぎくしゃくしていく。由良本人もだいぶ酒で身を持ち崩したタイプのようだが、それだけではなく四方田はジョージ・スタイナーと山折哲雄による師弟論を引きながらそこに師弟という関係のもつ宿命的な難しさを見る。
  • なのだが、その書き方はどこか「師匠を超えてしまった自分が、嫉妬に燃える師匠のことを赦す」いたいな少々上から気味なところが感じられるのもたしかだ。↓こんな猛烈な批判ブログを先に読んでしまっていたのでよけいにそう思うのかもしれないけれど。

傑作 四方田犬彦『先生とわたし』の「すべてデタラメ」 -ペテロでもなく、ユダでもなく- - tono-taniの日記

  • どうでもいいけどこの本に出てくる高山宏はやたらとかっこいい。ちなみに高山はこの本をけっこう褒めてるのだが、それもそのせいかも(笑)。

高山宏の読んで生き、書いて死ぬ : 『先生とわたし』四方田犬彦(新潮社)
先生とわたし (新潮文庫)
四方田 犬彦

4101343721
新潮社 2010-06-29
売り上げランキング : 458697

Amazonで詳しく見る
by G-Tools