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3/16 『ヒップホップコリア』 トークイベント at 渋谷LOFT9

パブリブから昨年発売された韓国ヒップホップの徹底ガイドブック『ヒップホップコリア』の著者鳥居咲子さんが、BMRの丸屋九兵衛編集長およびラッパーのZEN-LA-ROCKさんを迎えてトークイベントを行うというので行ってまいりました。ちなみに『ヒップホップコリア』はノイズ堂でも好評発売中であります。
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前半は鳥居さんによる韓国ヒップホップ概論。まずは簡単な歴史を説明。
92年ごろにソテジやDEUXなどが登場するが、その時点ではまだ「ラップを取り入れたロック/ポップス」という感じ。
90年台後半から本格的にヒップホップカルチャーが取り入れられ始める。それまでは政治状況も関連してリアルタイムのヒップホップが入ってきにくい状況もあったのではないか(この辺、インディロックの話とも通じる。韓国ではハードコアパンクシーンができるのが大変遅かったのだ)。
韓国ラップ/ヒップホップの特徴として鳥居さんが上げるのが以下の三点

  • 韓国語の語感
    • 語感が非常にラップ向きであるという話だが、この辺は本に詳しく書いてあるので割愛(買ってください!ノイズ堂で!)
  • サウンドの多様性
    • ロック/ポップス寄りのトラックも多用され、サウンド面に縛りが少ない(ので、ポップス系のファンも入りやすい)
  • 好青年が多い
    • 美青年と言ったほうが正確ではないかとのツッコミあり。まあいわゆるB-BOYよりも、K-POPアイドルにぱっと見近いような人が多いという話である

また、オーヴァーグラウンドとアンダーグラウンドの境界が希薄で、完全DIYでやってるインディーアーティストの曲がテレビCMに使われたりもしているとか。
と、ここで一曲、Keith Ape - 잊지마 (It G Ma) (feat. JayAllDay, Loota, Okasian & Kohh)。Keith Apeはこの曲がYouTube経由でアメリカでも注目され、今や活動拠点をアメリカに移している。その際にインタビューで結構韓国ヒップホップシーンをdisってて、それに対してビーフが起こりかけたのだが、「英語が拙くてうまく伝わらなかった」と言って逃げた模様w

また、「今一番熱い曲」として紹介されたのがBewhyの「Forever」。韓国大衆音楽賞の最優秀ラップ&ヒップホップ楽曲賞を受賞した曲で、三部構成の組曲になっている。メロウな感じで始まったと思ったらサウス的なミニマルなビートになり、最後は8分の6拍子になるという展開だが、それを難なく乗りこなすラップのスキルがパねえ、というやつである。

後半はまずZEN-LA-ROCKが韓国のラッパーKIRINとコラボを行った経緯について。KIRINは今時珍しいニュージャックスイングをこよなく愛するラッパーなのだが、ZEN-LA-ROCKもNJS曲をリリースしているのを探し出したようで、最初は先方から訪ねてきたのだけれど、会ってみたら異常にシャイで全然話せなかったとか。とはいえせっかくだからと韓国で客演してみたところ、日本ではなかなかないくらい大いに盛り上がったこともあり、コラボ曲「PURPLE JACK CITY」 につながった。再度韓国にてニューイヤーコンサート?みたいなのに出たら何千人規模の会場が大盛り上がりだったとか。
韓国のオーディエンスの反応は極めて熱狂的で、ラップへの飢餓感・渇望感があるのでははないかとのこと。

けっこう押しちゃって個人的に楽しみだった丸屋さんのコーナーがちょっと短めに。
まず丸屋さんが初めて韓国ヒップホップに興味を持ったのはH.O.T。「ビジュアル系みたいなルックスでラップをやってるのが衝撃。西太后みたいな爪をつけていた」とのこと(笑)


Aziatixのニッキー・リーはなぜか母国韓国ではなく台湾で北京語R&Bを歌い成功、のちに米・台湾・韓を結ぶ存在となったとか。
またBIG BANGや防弾少年団のメンバーがいかにマニアックなR&B知識を持ち合わせているかという話も丸屋さんならではで興味深かった。BIG BANGのテヤンが「フィリピン系オーストラリア人R&Bシンガーのイスラエル」(これだけで3つも国名がw)の曲をカヴァー。防弾少年団のメンバーは好きなアーティストに213(スヌープ・ドッグが身内を率いて結成したグループだが、アルバム1枚しか出していない。ちなみにぼくも好きです)。
音楽に関するマニアックな知識についてはだいたい一般的に日本人(およびドイツ人)が頂点と言われているが、韓国には突発的に世界有数クラスのものすごいマニアが存在するのかも、という指摘はなかなか興味深いものがあった。
なお、3/25(土)には鳥居さんの企画でPaloalto & Evoという親友同士の来日公演が行われる。なんと同じくLoft9にて、ランチショー(ディナーショーならぬ)形式で行われるという。ブルーノート公演とかをもうちょっとカジュアルにした感じだということなのだが、ヒップホップのライブでそんな形式なかなか聞いたことがない。冒険的すぎる企画なので応援したいと思います!

LUNCH PARTY with PALOALTO & EVO
OPEN 11:00 / START 12:00
VIPチケット対象:Meet & Greet
開始 15:00 | 終了 16:00
一般チケット:¥4,800
VIPチケット:¥9,800(限定30名)
【出演】
Paloalto
Evo
DJ Chika a.k.a Inherit

LUNCH PARTY with PALOALTO & EVO – LOFT PROJECT SCHEDULE