四畳半襖の裏張り しのび肌
昨年末に編集した本および昨年発売された大著に触発されて年末くらいからU-NEXTで神代辰巳の作品を観ている。恥ずかしながらこれまで全然観てこなかったのだが(というかロマンポルノ自体ほとんど観てなかったのだが)、これがまあさすがにいちいち面白い。
本作は代表作のひとつである『四畳半襖の裏張り』の続編にあたるもので、前作同様主演は宮下順子。しかし内容的にはつながりはなく、全然別物である。個人的にはむしろこっちのほうが面白かったかも。前作は芸者たちの群像劇だったのだが、こちらは宮下順子演じる芸者に(関東大震災のどさくさにまぎれてほぼ誘拐同然に連れ去られて)育てられた正太郎少年の性遍歴が中心となっている。まあこの少年の魔性の性豪ぶりがものすごく、若い芸者からオッサンまでことごとくそのテクニックでトリコにしていくのである。とくに美少年ってわけでもなく、なんかのっぺりした顔で表情にも乏しいのだがそこが妙に観ていて引っかかってくるというか、ある種の説得力があるというか。後半で幇間になりたいと言って芸の練習をするのだが、これがまたなかなかえげつない下ネタで、それを大真面目な顔で師匠?の前で延々と披露するシーンなど実に奇妙な後味。荷風の原作?は読んでないのだが、たぶん全然違うんだろう。
あと、徴兵される若者とその相手の芸者が別れを惜しむみたいな場面がけっこう色んな映画で出てくる(『一条さゆり・濡れた欲情』では逆パターンで、警察に連れて行かれるストリッパーとそのヒモという形だったが)のだが、これって何かこだわりのあるモチーフなのだろうか。まあそのへんは続けて観てくうちにわかるのかな。
件の大著は一度図書館で借りてちょっとだけ読んだのだが、とうてい貸出期間の2週間で読める分量ではなかったので、一通り作品を観てから再度手に取りたいと思う。図書館にするか思い切って買うかは、作品を観ながら考えようと思うが、今のところどれもこれも面白いので、本も買う方向に傾いております。