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【20冊目】フォンダ・リー『翡翠城市』

ケン・リュウ絶賛の中華系カナダ人作家によるファンタジー。なんかこう、ヤクザ映画みたいな小説である。

本作での翡翠というのはケコン島という架空の島で算出される鉱石で、身につけると持ち主にある種の超能力を与えてくれる。ただし、それが可能なのはケコン人の中でも限られた血筋と訓練が必要で、それ以外の人間が身につけると身体に甚大なダメージを受けてしまう、というもの。翡翠を身に着けることができる人々は「グリーンボーン」と呼ばれ、それを取りまとめる大きな組織が2つ、「山岳会」と「無峰会」に別れて対立している。
無峰会の「柱」(=ドン)であるラン、その弟であり組織の「角」(ナンバー2で、おもに武闘派を担当)であるヒロ、そして組織の仕事を嫌い一度は翡翠を外して外国に移住していた妹のシェイを中心にストーリーは進む。一応主人公としてはヒロということになるのかな。乱暴で直情的だが気のいい性格でみなに慕われる兄貴という感じで個人的にはマ・ドンソクをイメージした。海外では「21世紀版ゴッドファーザー×魔術」と言われてるそうなんだけど、ファミリーの絆の話だったりするところから来てるのだろう。

登場人物の内面描写がしっかりしていて、それがストーリー展開とうまく結びついているのもよくできている。魅力的な設定だと思うのでシリーズ化されたりするんじゃないかしら。