タレンタイム
「仮設の映画館」でオンライン鑑賞。マレーシア映画。
www.temporary-cinema.jp
「タレンタイム」というのは「Talentime」と書く。タレントショー的な、歌謡コンテストみたいなものを指すマレーシア英語らしい。
コンテスト出場の決まった少年と少女、それを見守る先生たちや、コンテスト準備期間に送り迎えを仰せつかった少年などが絡み、そんな中で生まれるほのかな恋を描いた青春群像劇で、とりあえず爽やかなストーリーではあるのだが、そこに人種・階級・宗教などの問題が絡んで一気に複雑になる。マレーシアの社会事情はよくは知らないのだけど、裕福なムスリム家庭と貧しいヒンズー家庭の半目に加えて華僑も加わる。音楽が重要な話なうえに聾唖の登場人物もあり、また言語も複数(少なくとも、マレー語と中国語は混ざっている。それ以上はちょっとわからない)ありで、とても繊細にコミュニケーションが展開していく。いろんな積み重ねがあって、コンテストのクライマックスではもう落涙を禁じ得ない。
「映画館で観ないと」っていうときって、どちらかというとスペクタクル的なものを指すことが多いと思うのだけど、こういう繊細なドラマもまたテレビとかPCで観ると集中力が続かなかったりするので、本来であれば映画館で観たい。とはいえ、すごくすごくいい映画なので、オンラインでも観られるうちに是非見てください。事情はわからないがソフト化は無理らしいし。