白い暴動
本来ならば劇場公開されているはずだったのが、コロナの影響でオンライン公開になっていた作品。配信期間が延長になったそうなのでいまからでもぜひ。配信で1000円以上かかるのは高いと思うかもしれないが、そこはまあ映画館に行ったつもりでひとつ。
広告で使われてる写真は、ポール・シムノンを後ろから撮ったかっこいいもので、タイトルも含めて「ああ、クラッシュの映画なのかな」と思うところだが、さにあらず。
イギリスでは極右団体ナショナル・フロントが影響力を増し、移民排斥を訴えるデモなどが行われていた。ユニオンジャックを翻しながら大量の警官に守られて行進する姿はいまの日本そっくりでゲンナリする。エリック・クラプトンがNFへの支持を表明するなど、ロック界でもヘイトスピーチが広まっていた。そんな世の中に対する抗議運動として始まったRock Against Rasism(RAR)の面々を追ったのが本作だ。
クラプトンの発言に対する抗議文を各紙に投稿することから始まり、大学生を取り込もうとするNFに対抗してキャンパスでビラをくばり、ジンを発行して対抗していく。そんな彼らに連帯していくのがX-レイ・スペックスやトム・ロビンソンといったパンクスであり、スティール・パルスなどのレゲエアーティストたちだった。ファン層がスキンズ寄りでNFに親和的であることに悩むシャム69の姿なんかも印象的。
クラッシュはクライマックスで登場するが、主役はクラッシュをその場に呼出したひとびと、RARのスタッフたちであり、パンクってそういうところまで含んだカルチャーだからいいんだよ!と改めて思った。ちょうど『マージナル:ジャカルタ・パンク』の配信が始まったそうなので、合わせて観るといいと思います。