独裁者
最後の演説や、地球儀型風船のシーンなど、なんとなく知ってるつもりになってるけどちゃんと見たことのなかったクラシックをTV録画で鑑賞。志のあるいい映画である。有名な演説シーンはたしかに胸を打つものがある。
ただし、正直コメディとしては笑えない。まあギャグが古びてるってのもあるんだけど、実際のナチの行為を考えると、劇中のユダヤ人たちをとりまく状況がつらすぎて笑う気にならないのだ。この頃はまだホロコーストとか公じゃない時期だったのかな。ムッソリーニ風の独裁者が出てくるシーンはちょっとおもしろかったけど。
現役の他国の元首をパロってるということで国内からも批判の声があったとも聞く(左翼的だ、という批判もあった模様)。1940年の映画なのでアメリカはまだ枢軸国との開戦に至ってないので、今のように「ナチ=完全な悪」という感じではなかったんだろう。とはいえ、同じ年の『海外特派員』はもう半分参戦してるようなイケイケなノリなので、その差はどこから来てるのかは興味深い。