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【28冊目】ブラック・ホール

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アメコミにも「オルタナティヴ・コミック」と言われるものがあって(有名なところでは映画『ゴースト・ワールド』の原作とか)、本書の著者チャールズ・バーンズはその代表的な作家のひとりだ。ロックファン的には、イギー・ポップの『ブリック・バイ・ブリック』のジャケでおなじみ(かな?)。

70年代(前半?)のアメリカの田舎町で、高校生の間で奇妙な伝染病が発生。感染すると、皮膚が崩れたり、脱皮したり、尻尾が生えてきたり、首根っこに口ができたりと、身体に異変が起きり異形の者と化す。感染経路ははっきりしないが、セックスで感染するのは確実。感染した若者たちのグループが家を出て森に籠もっている。

モノトーンで終始ぼんやりと不穏なムードが続く。エイズのメタファーだと言われることもあるようだけど、解説でもは否定されているように、もっと幅広く思春期の若者の不安みたいなもの(肉体の変化へのとまどいとか)を表しているんじゃないのかな、と。

肉体の変容以外にも、モノクロながら不気味にサイケデリックな幻想シーンなどアート的にも素晴らしく、オルタナティヴ・コミックの中でも極めて評価の高い一冊だが、たしかに大傑作。