パーフェクトワールド
逃亡を続けるケヴィン・コスナー演じる脱獄囚ぶっちと人質にとられた少年フィリップの心の交流を描くイーストウッド監督作品。イーストウッドは脱獄囚を追うテキサスレンジャーのレッドを自ら演じてもいる。いかにもイーストウッドが演じる感じのキャラなんだけど、自身のステロタイプを自ら演出するのってどういう気持なんだろう。知事に命じられて操作に加わったエリート犯罪心理学者のローラ・ダーンが、ホモソーシャルなチームの中で(同じく上からの指示でチームに加わったイヤミなFBI捜査官のセクハラ撃退なんかを経て)だんだんイーストウッドと打ち解けていく感じはよかった。
本筋であるブッチとフィリップのほうだが、脱獄した際の相棒は粗暴なタイプで、ブッチとは最初から馬が合わず、人質として連れてきたフィリップに暴力をふるおうとしたところでブッチに殺されてしまう。この粗暴な相棒との対比で、ブッチは「実はそんなに悪いやつじゃない」というのが描かれ、フィリップと打ち解けていくきっかけにもなっていき、かつ「子供への暴力」がブッチの地雷であるというのも終盤への伏線になっている。フィリップのほうの特殊な家庭環境も途中で明らかになる(序盤で伏線あり)んだけど、これがまたフィリップがブッチに懐いていく理由になっていく。
という感じで、この、救いのない話に「パーフェクト・ワールド」というタイトルをつけることも含めて、まあさすがにいろいろと上手いなあとは思った。