【32冊目】『バットマン:ホワイトナイト』
DCを中心にアメコミを買い漁っている友人が、ハマるきっかけとなった一冊に挙げていたものなので期待して読んだのだが、なるほどさすがに面白い。
バットマンに組み伏せられ薬を飲まされたジョーカーが正気に戻ってしまう。改心したジョーカーが始めるのは、バットマンの違法行為とそれを黙認する警察の批判。そして彼らが守っているのは富裕層だけで、貧困層は社会の片隅に追いやられたままだと主張して政界に乗り出そうとする。
一方でバットマンはヴィランたちを追うのに夢中になるあまり、しばし街を破壊するなど暴走が目立つようになっている面もあり、市民や警察内部でもジョーカーの主張に賛同するものが現れていき、やがてバットマンは逮捕されてしまう……バットマンとジョーカー、そしてバットファミリーやハーレイといった周辺の人間関係もうまく取り入れてコンパクトに一冊に収めている。ぼくはもともとDKRとウォッチメンからアメコミに入ったので、こういう「ヒーロー対ヴィラン」の構図を相対化するようなのは基本的に好きなんだが、一方でそういうのはその二作が完全に頂点なので、ちょっとやそっとでは満足しないぞというのもあり(あと、「正義の相対化」みたいなのってもう古いよなってのもある)。が、これは非常に満足度が高かった。こういうのを読みたいんですよ!