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ジュリアス・シーザー

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「ブルータスよ、お前もか」で有名なシェイクスピアの史劇を映画化したもの。いちおう、これを観る前に原作も読み直しておいた。
たぶん、知らずに観るとまずびっくりするのが、シーザーがあんまり出てこないってところだろう。戦争に勝ったシーザーが凱旋し、元老院を通じていざ独裁者とならんとしたところで暗殺される。その暗殺決行に至る過程とその後の争いを描いたのが本作であり、中心になる人物はブルータスとアントニーだ。ブルータスは、シーザーの独裁体制に危機感を持つ一派に担ぎ上げられて暗殺に加担、暗殺後は共和派の指導者となる。アントニーはシーザーに心酔する軍人であり、暗殺の後、兵を率いて共和派の反逆者を討つ。
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前半のシーザー暗殺前のパートが特に顕著なんだけど、演劇っぽいというか、動きがあまりなく台詞のやりとりを聞かせることに注力してる感じで観てるとやや退屈するかも。
中年で実直なブルータスと若くギラギラしてカリスマ性のあるアントニーの対比が印象的。ていうかアントニーやってるの、マーロン・ブランドだったのか!美形! 戯曲を読んでて、ここが一番の見どころなんだろうなと思ったのが、シーザー暗殺後のアントニーの追悼演説。共和派の人たちはこの演説をさせるのを嫌がるのだが、ブルータスは共和派の批判をしないことを条件に演説を許可する。ここはブルータスの清廉潔白ぶりを示す場面でもある。
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で、まずはブルータスが演説して聴衆は納得。独裁いくない!共和制と自由バンザイ!みたいなことになるのだが、その後のアントニーの演説で聴衆はコロっと心変わりして熱狂、「反逆者を倒せ!」みたいなことになる。このあっけない掌返しぶりには、なんというかポピュリズムって怖いなあという感慨を抱いた。