「むう」な掌編集――【37冊目】柴崎友香『百年と一日』
掌編集というのがいまひとつ苦手なのは、最近あちこちで書いてるように「オチ」にあんまり興味がないからだ。ショートショートとか掌編集ってどうしても、変わった設定と気の利いたオチというのがポイントになってくるものだと思うのだけど、「変わった設定」は大好物なんだけど「気の利いたオチ」がつくとむしろがっかりしたりする。
本作は33編を収録した掌編集なのだが「あっと驚く結末」などは一切なし。日常の延長で、ふとしたことで過去と現在につながりが見えたり、距離を越えた接点が出てきたりといった、考えてみたらちょっと不思議かもしれないけど、そういうこともあるかもね、くらいのさじ加減が実にいい。
スズキナオさんが最近開始した連載「この世の隅っこの「むう」な話」に通じるものがあるのかなと思った。
目次がサイトに載っているのでみてもらうとわかるのだけど、各話のタイトルがちょっとした短文で、それはあらすじではあるのだけれども実際に読むとまたちょっと違うところがひっかかったりもする。
ぼくは一気に読んじゃったんだけど、一編一編は短いので寝る前とかにちょっとずつ読んだりするのもいいんじゃないかな。