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シェナンドー河

西部劇かなと思ったら、時代的には同じくらいなんだけどちょっと違った。むしろ文芸映画というか、反戦ドラマ?
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南北戦争時代、敗色の濃くなってきた南部で暮らす一家の話。住まいは南部の州ではあるものの、父親は「うちは州の世話になどなったことはない」ということで徴兵も徴用(馬とか)も完全拒否して追い返す。
そんな中、拾った軍帽をかぶっていたために息子の一人が南軍兵士と間違われて北軍の捕虜になってしまう。父親は子どもたちを引き連れて取り戻しに出かけるが……。

この「政府の世話になどならん、自分のことは自分でやる」というのが実にアメリカ人の価値観だなあという気がする(この父親、撮影された時期によってはイーストウッドが演じたりするんだろうなというか)。いざとなったら政府にも立ち向かうために銃を持つ権利を保持するというのが銃規制反対派の論拠のひとつなわけだが、一方でその結果、この家族は非常に苦い経験もする。

あと面白いと思ったのは、この一家は南部に住んではいても奴隷は所有していないということ(「自分のことは自分でやる」から)。息子が仲良くしていた黒人(ご近所さんのところの奴隷)は北軍が侵攻してきたことで自由の身となり、やがて息子は彼に助けられることにもなる。1965年の映画なので、公民権運動なんかも影響してるのかな。
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一家で一番射撃が上手いのが娘だったりする(かっこいいんだ、これが)。主役の父親を演ずるのはジェームズ・スチュアートなので、古き良きアメリカの価値観を代表するような人なんだが、一方でなんとなく新時代にも対応しようとしてるのかとも思える。
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今見てもいろいろとアメリカについて考える材料になる映画だな―と思った。