溺れるナイフ
少女漫画原作の青春映画ということでたぶん普通だったら絶対観ないたぐいの映画なんだけど、なんとなくタイトルがひっかかっていたもの。たまたまBSでやってたので観たところ、これがわりとよかった。
小松菜奈演じるモデルが田舎の町へ引っ越してきて、菅田将暉演じる少年に出会う。少年は町の有力者である神社の息子で、自身も「この町はすべて俺のもの」くらいの感じに振る舞っている。そんな二人が憎まれ口を叩きながらも惹かれ合いつきあい始めるも、祭の夜に事件が起き、二人の関係にヒビが入る……。
誰もが認める町一番の美男美女カップルのひたすらキラキラした全能感と、その輝きが一気に失われていく。さらには、少女に思いを寄せる「いいやつ」が出てくるのだが、これがまたしょせんはあくまで「いいやつ」に過ぎなくて、それを自覚してもなおも「いいやつ」であり続ける様が切ない。
そして一年が経ち、再び祭の夜が訪れてからの、どこまで現実かわからない描写には賛否両論あるようなんだが、ぼくは好き。
まあとにかく菅田将暉の美しさに尽きる。最後に少女は、祭の夜の事件をもとにした映画に出演し、その映画で賞をもらうのだが、そこで流れる映画内映画の相手役があまりに魅力に欠けるというか明らかに菅田将暉の輝きにははるかに及ばないのが難点かなとは思った。これじゃ賞は取れそうもない気がしちゃうんだよね。