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実録女囚ものロシア編――【39冊目】『プッシー・ライオットの革命』


2018年サッカーワールドカップ勝戦への乱入パフォーマンスも記憶に新しいロシアのアクティヴィストにしてパンク・バンド、プッシー・ライオットの創設メンバーの一人が書いた本。原書は2017年刊行で邦訳は2018年。

プーチン政権への抗議として大聖堂で行ったパフォーマンスにより罪に問われ、逃亡の後に逮捕拘禁。弁護側証人が裁判官の指示で法廷からつまみ出されるなど、まったくフェアでない裁判を経て矯正収容所へと送られる。
しかしながらそこでも彼女の抵抗は止まることがなく、たびたびのハンストや、人権活動家と連携しての告発など様々な手段で囚人の人権に関する抗議運動を行っていき、ついには所内の人権問題について裁判を起こし勝訴を勝ち取るという画期的な展開も。
刑期の後半になると看守たちも腫れ物を触るようになっていく。不祥事が起こると自分もボーナスカットやら解雇やらにつながってしまうので、なんとかなあなあで済ませようと持ちかけるのだが断固拒否。恩赦により、突然の自由を得るところで終わる。

ロシアの収容所のえげつなさはやはりなかなかのもので、女囚映画顔負けの場面がしばしば出てくる。ノルウェーなんかだと殺人で有罪になったブラックメタラーが獄中でアルバムを録音したなんて話もよく聞くのだが、ロシアでは到底無理そうだ。
本書で描かれるのは2012年の逮捕にまつわるもので、その後ヨーロッパ人権裁判所から人権侵害としてロシア政府に賠償を求める判決が出たりもしている。もちろんワールドカップより前のことなわけで、その後も活動の手を緩めないタフさには本当に頭が下がるし、いま現在ロシアで反戦運動により拘束されている人たちの覚悟もまた大変なものだと思う。