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NOIZ NOIZ NOIZ

1999年スタートの特殊音楽個人サイト http://www.noiznoiznoiz.com/ からこちらに移動してきました

10/31(Sat)柳樂光隆×唐木元「ジャズミュージシャンが奏でる、 まだ名前の付いてない新しい音楽」『Jazz The New Chapter 3 』刊行記念

  • 「今ジャズ」シーンの盛り上がりを伝えるムック「JAZZ THE NEW CHAPTER」監修者の柳樂光隆さんと元コミックナタリー編集長で来年からバークリーに留学する唐木元さん(以下、ゲン)のトークというのに行ってきた。
  • まず「そもそもニューチャプターって何なの?」という質問から。ここで「他ジャンルとの融合によって拡張されたジャズ」という回答が得られる。以後、「融合したジャンル」と「それによって得られた拡張」を挙げていく形となる。サビ頭&枠を先に作るというナタリーメソッドがいかんなく発揮されてました。
  • 融合したジャンル、まずあげられるのはやはり「ヒップホップ」とネオソウル。J DILLAに代表されるリズムの「訛り」。つまりサンプリングする際に小節の切れ目から微妙にズレたところで切り貼りすることで生まれるちょっと歪なパターンを完璧に再現するドラマーたちの出現というのがある。ディアンジェロの名作『VOODOO』ではそれを人力で再現すべく、クエストラブがかなり苦労して「酔っ払ったように叩け」というオーダーに答えている。これがまあたぶん「JTNC」的なジャズとして真っ先にイメージされるもの(=グラスパー以降のジャズ)ということになるのだろう。


the Robert Glasper Experiment - LIVE - { J ...

  • でも、実際に「JTNC」で取り上げられているのはそれにとどまらない。ジャンルとしてほかにあがったのは「ロック/ポストロック」「フォーク」「クラシック」「ブラジル」「クラブミュージック(エレクトロニックミュージック)」などがある。それらを通じて得られた特徴としてはいろいろあるけど個人的に重要だと思ったのはやはり「音色」ですかね。
  • たとえばゼロ年代のブルックリン系インディを代表するアニマル・コレクティヴの、シンセやサンプラーなど基本的に柔らかくキラキラした電子音で構成された音楽をカヴァーするにあたり、それらの電子音をすべて譜面に起こし、たくさんの弦楽器や管楽器を使って再現したベッカ・スティーヴンス。「ジェイムズ・ブレイクの影響を受けた」と公言して管楽器を一層し、エレキギターを全面的に導入することで新たなテクスチャーを獲得したホセ・ジェイムズなど。


Becca Stevens Band - My Girls [Animal Collective ...

José James - EveryLittleThing - YouTube

  • フォークの影響例としてデイヴ・ダグラスの曲をかけてたのも「へええ」と思った。デイヴ・ダグラスというと、トークでも触れられてたようにジョン・ゾーン人脈というイメージがある。マサダのメンバーですよね(山塚アイジョン・ゾーンとのトリオ演奏の7インチを持っている。ブートくさいけど)。同じくジョン・ゾーンのバンドNAKED CITYのメンバーであり、長年アメリカーナに取り組んでいるビル・フリーゼルのことを思い出したりも。
  • カウント・ベイシーデューク・エリントン、さらには「ルパン三世」といったイメージの強いビッグバンドジャズがいまやクラシック的なスコアワークを取り入れてものすごく複雑なアンサンブルを奏でるようになっているというのも面白かった。それでいてジャズミュージシャンでなければ「演奏できない音楽である」というのも含めて。「フォーク」についてもやはり同様に、メロディや和声は完全にフォークであるにもかかわらず、音色や演奏が完全にジャズ、というのがあって、「拡張されたジャズ」の何をもって「ジャズ」と呼ぶのか、という意味でもこれは重要なポイントなんじゃなかろうか。


Maria Schneider Orchestra Jazz a Vienne 2008 ...


David Bowie - Sue (Or In A Season Of Crime ...

  • 終わり際にゲンが「ブラジル」というキーワードを上げてきた。でもブラジル音楽とジャズの親和性っていうのは別に今に始まったことじゃないのでちょっと無理やり突っ込んできた感がなくもない。エスペランサをかけたかっただけじゃないの?
  • けっこう時間の押してきたなか、最後にあがった「クラブミュージック」については、「機械のように正確に叩きたい」というマーク・ジュリアナが面白かった。ベースとかもエフェクト処理で完全に電子音なのね。ここまでいくと本当に「ジャズミュージシャンがやってるからジャズ」としか言いようがない気もする。
  • 個人的には「ティグラン・ハマシアンとメタル(ていうかメシュガー)」というあたりも聞きたかったけど、ふたりともメタルは興味ないだろうからな。


Tigran Hamasyan & Aratta Rebirth #1 - YouTube

MESHUGGAH - Bleed (OFFICIAL MUSIC VIDEO ...

  • あと自分のこれまで聞いてきた音楽にひきつけて考えると、最近は特殊奏法を用いて電子音を模倣するサックス奏者とかが現れているそうなんだけど、それって10年くらい前にいわゆる「音響的即興」の人たちがやってきたことと通じるものがある。アクセル・ドナーとかがやってたようなことですよね。「前衛音楽の成果がポップミュージックに活かされる」というのはこんなところでも行われているのだな、と思ったのだった。


Axel Dörner,Paul Lovens,Kevin Drumm @ Meteo ...


Jazz The New Chapter 3 (シンコー・ミュージックMOOK)
柳樂 光隆
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Jazz The New Chapter 2 (シンコー・ミュージックMOOK)
柳樂 光隆
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Jazz The New Chapter~ロバート・グラスパーから広がる現代ジャズの地平 (シンコー・ミュージックMOOK)
柳樂 光隆
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