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「むう」な掌編集――【37冊目】柴崎友香『百年と一日』

掌編集というのがいまひとつ苦手なのは、最近あちこちで書いてるように「オチ」にあんまり興味がないからだ。ショートショートとか掌編集ってどうしても、変わった設定と気の利いたオチというのがポイントになってくるものだと思うのだけど、「変わった設定…

【36冊目】四方田犬彦『聖者のレッスン: 東京大学映画講義』

四方田犬彦が東大の宗教学科でおこなった講義録。 映画で描かれる聖者についての講義なのだが、聖者自体の説明もちゃんとしてくれるので、宗教学のさわりとしても読める。 キリスト教(ジャンヌ=ダルクをはじめとする聖者)からはじまり、台湾(媽祖)や日…

【35冊目】グラント・モリソン『オールスター:スーパーマン』

グラント・モリソン先生によるスーパーマン。まあさすがの一言。スーパーマンというのは言わずとしれた完全無欠の超人なので、何か制約を与えるとか、あるいは設定をひねる(『レッド・サン』みたいに)とかしないと物語にならないわけなんですが、本作では…

【34冊目】乾緑郎『機巧のイヴ』三部作

和風スチームパンクの三部作。第一作『機巧のイブ』は、江戸時代の日本を思わせる架空世界を舞台に、「機巧人形(まあロボットとかアンドロドとかそういうものだ)」のイヴとその周辺人物たちにまつわる連作短編集。 まずは冒頭一作目のそのまた冒頭部分でガ…

【33冊目】『スーパーマン:レッド・サン』

バットマン=陰/スーパーマン=陽。というのがまあ一般的な認識だろう。でまあ、基本的にダークなほうが好きなのでぼくはスーパーマンのコミックは全然読んだことがなかったのだが、本作は「もしもスーパーマンが降り立ったのがソ連だったら」というパラレ…

【32冊目】『バットマン:ホワイトナイト』

DCを中心にアメコミを買い漁っている友人が、ハマるきっかけとなった一冊に挙げていたものなので期待して読んだのだが、なるほどさすがに面白い。 バットマンに組み伏せられ薬を飲まされたジョーカーが正気に戻ってしまう。改心したジョーカーが始めるのは、…

【30冊目】和ンダーグラウンドレコードガイドブック

和モノのディスクガイド本シーンはここ1~2年でかなりヒートアップしているのだが、これは究極の一冊かもしれない。 70年代のフォークおよびニューロックのガイドなのだが、かなりの割合を「自主盤」(「インディーズ」ですらない)が占めている。あいまに突…

【29冊目】古川日出男『おおきな森』

ギガノベルが届いた #古川日出男 #おおきな森自粛期間中に発売された大著を、自粛期間の最終日に読み終えた。大きく3つのプロットが並走している。 記憶を失った男、丸消須ガルシャが汽車(満州鉄道らしい)の中で目をさまし、そこで出会った防留減須ホルヘ…

【27冊目】阿久津隆『読書の日記 本作りスープとパン重力の虹』

すごいのが届いた。#fuzkue #読書の日記「本の読める店」フヅクエの店主による読書日記の2冊め。シリーズなのに1冊目と造本がぜんぜん違う。この自由度の高い発想は見習いたい。 ウェブやメルマガにて書き綴られたものを加筆修正しているのだが、たぶんそん…

【27冊目】『野中モモの「ZINE」 小さなわたしのメディアを作る シリーズ《日常術》』

ちょっと前に出たばるぼらさんとの共著『日本のZINEについて知ってることすべて』は本当に大著で労作なんだけど、いかんせんあのボリュームなので、パラパラめくったあとなかなか精読するには至らずにいたのだのだが、今回の新刊はライトで読みやすく、買っ…

【26冊目】磯部涼『ルポ川崎』

3月の松本旅行の際、往復の電車・バスで読んだ。あのころはまだ週末の一泊旅行とか(ちょっとリスクあるかなとは思いつつ)行けたんだなと思うと遠いむかしのようでもある。さて、2017年に出て大変に話題になった本をようやく読んだわけだが、川崎ってこんな…

【25冊目】高橋ヨシキ『続悪魔が憐れむ歌』

ホラー映画やモンド映画を扱った批評集の第二弾。第三弾まで出ているが、洋泉社解散にともないすべて絶版、店頭在庫もあまり見かけないので、見つけたら即ゲットをおすすめする。 取り上げられているのはロブ・ゾンビを皮切りに、『13日の金曜日』や『エルム…

【24冊目】ジム・キャロル『ダウンタウン青春日記』

ジム・キャロル『マンハッタン少年日記』の続編ということでいいのだろうか。ぼくの中のライフワークのひとつとして『プリーズ・キル・ミー』に出てくる人たちの作品を読んだり聴いたり観たりするというのがある。ジム・キャロルもその一環として読んでみた…

【23冊目】古谷田奈月『無限の玄/風下の朱』

『神前酔狂宴』もすばらしかった古谷田奈月の前作で、中編2本を収録。 「無限の玄」は三島賞受賞作になっているのだが、これがまた最高。 ブルーグラス楽団を生業とする一家の話で、玄というのは父親の名前。ほんとに玄が無限という話だからびっくりする。バ…

【22冊目】山崎まどか『映画の感傷 山崎まどか映画エッセイ集』

『優雅な読書が最高の復讐である 山崎まどか書評エッセイ集』と対になった形のエッセイ集。 ノア・バームバックやレナ・ダナムを中心とした現代の女子映画、長谷川町蔵さんとのコンビでもよく紹介しているティーン映画など、まどかさんならではのラインナッ…

【14冊目】長谷川陽平『大韓ロック探訪記』

だいぶ前に某用件で書いたのだけど結局使われなかった書評の原稿を発掘したのでちょっと書き直してこちらに転載します。 大韓ロック探訪記 (海を渡って、ギターを仕事にした男)長谷川 陽平 大石 始 DU BOOKS 2014-05-16売り上げランキング : 248046Amazonで…

【13冊目】四方田犬彦『先生とわたし』

由良君美というとぼくが最初にその名を意識したのは卒論執筆中のこと。デヴィッド・ボウイのSF作品をニューウェーブSFおよびメタフィクションとして読む、みたいな内容の卒論だったので、巽孝之やラリイ・マキャフリイなんかを参照していたわけなのだが、そ…

【12冊目】ケヴィン・バーミンガム『ユリシーズを燃やせ』

ジョイスの作品がいかに当局から目の敵にされたのか。当時はどれだけ過激なものだったのかは今となっては想像するのが難しい。 かつては英語圏では軒並み違法とされ、フランスで出版されたものが密輸されていたという。戦後にナボコフやらバロウズやらがお世…

【11冊目】大石始『ニッポンのマツリズム』

高円寺の阿波踊りや郡上踊りと言った有名なものから、かなり秘境っぽいところまで、音楽的な面白さのある祭りを求めて日本中を周って取材を重ねた労作(とはいえ、この道は奥深いのまだまだスタート地点ですよね!)。有名な祭りも起源は意外と近かったり、…

【8冊目】デスメタルアフリカ

■タイはちょっと一休みしてアフリカを。メタルって本当に世界中にあるのでいつも感心するのだが、その極みみたいな本である。■「珍書プロデューサー」として社会評論社より数々のニッチな本を刊行している編集者のハマザキカク氏が新たに立ち上げた出版レー…

【7冊目】ラーオ・カムホーム『タイ人たち』

■タイ強化月間なので文学作品も読むのである。■短篇集。「アジアの現代文学」というシリーズの一冊なのだが、どっちかというと貧しい農村とか、前近代的なところを舞台にした話が多い。かといって中国文学とかにあるようなマジック・リアリズムみたいな感じ…

Marjinal記事掲載誌

ディスクユニオン発行のフリーペーパー「Follow Up」、もうすぐ配布開始の135号にてイライザ・ロイヤルによるメンバー全員へのインタビュー掲載 FOLLOW-UP WEB MAGAZINE!! -CREATE YOUR MUSIC LIFE- 本日発売のPUNK ROCK ISSUE「Bollocks014」にて、Forward…

丹下和彦『食べるギリシア人―古典文学グルメ紀行』(岩波新書)

食べるギリシア人――古典文学グルメ紀行 (岩波新書)丹下 和彦 岩波書店 2012-03-23売り上げランキング : 279897Amazonで詳しく見る by G-Toolsイーリアスをはじめとするギリシャ古典から当時の食事事情、そして食べ物にまつわる文化的コードみたいなものを読…