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【8冊目】デスメタルアフリカ

■タイはちょっと一休みしてアフリカを。メタルって本当に世界中にあるのでいつも感心するのだが、その極みみたいな本である。

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■「珍書プロデューサー」として社会評論社より数々のニッチな本を刊行している編集者のハマザキカク氏が新たに立ち上げた出版レーベル「Publib」の第一弾『デスメタルアフリカ』! タイトルにはとりあえずわかりやすさを重視して「デスメタル」とついているが、まあクラシックなHR/HMを除くデス、ブラック、メタルコアメロスピ等々ジャンルは幅広く取り上げられている。とにかく可能な限りすべてのバンドを網羅すべく根気強く検索しているのがうかがえる。「2011年で更新の止まったFacebookページと動画が一個あるだけ」みたいなバンドまで拾い上げているのが流石としか言いようがない。ぼくも旅行の際には現地のバンド情報を調べるようにしてるのだが、なかなかここまではできないわ。

■珍妙な部分を面白がる面もあるものの、そこはデスメタルについて膨大な知識を持つ著者らしく、楽曲についてのコメントも簡潔ながら切れ味が鋭い。デスメタルって微妙な差異が大きな違い、みたいなジャンルなので、これだけ各バンドのサウンドを個別に説明できる人って音楽ライターでもなかなかいないと思う。興味深いバンドにはしっかりコンタクトを取ってインタビューも取っているのは頭が下がる。これ、翻訳も自分でやってるってことだよな?

■音楽的にはかなり厳しいバンドも多く紹介されてはいるのだが、特にインタビューでは社会状況や経済状況など、メタル自体に関心がない読者にも興味を惹くような質問がされているのもポイントか。政治的な質問をされると急に警戒して口を閉ざすアーティストも少なくない。これはたぶん国によってだいぶ違っていて、アフリカ屈指のメタル大国であるマダガスカルのバンドはけっこう堂々と政権批判をしている人が多いようだ。言論の自由と文化の発展はやっぱ関係あるんだな、と思わざるをえない。

■最近は旅行に向けてタイのハードコアやノイズを探してるのだけど、もっとしっかり掘っていきたいなと思いました。その成果は今後の「NOIZ NOIZ NOIZ Zine」に活かされていくことでありましょう。

■ていうかこの本、ノイズ堂でも扱いたいなと思って連絡したんだけど返事がもらえなかったのよね……周りで買いそうな人はだいたいすでに予約しちゃってる気がするので今回はやめときます。
(9/11追記:上記のようにぼやいたら早速対応いただきました。来週あたりに入荷できそうです! 現在入手困難っぽいのでこの機会をお見逃しなく!)

デスメタルアフリカ―暗黒大陸の暗黒音楽 (世界過激音楽)
ハマザキ カク
4908468001