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【36冊目】四方田犬彦『聖者のレッスン: 東京大学映画講義』

四方田犬彦が東大の宗教学科でおこなった講義録。
映画で描かれる聖者についての講義なのだが、聖者自体の説明もちゃんとしてくれるので、宗教学のさわりとしても読める。
キリスト教(ジャンヌ=ダルクをはじめとする聖者)からはじまり、台湾(媽祖)や日本(大本教)、そしてキリストの表象(メル・ギブソンのやつとか)から「表象不可能性(描くことのできないもの/描いてはいけないもの)」という視点でホロコーストについての映画に至る(表現し得ないものを表現する際に嘘が混じるという論点からのスピルバーグ批判を展開)と、まあ盛りだくさんで読み応え十分。こんな講義受けられるのってすげえなあと感心した。めちゃくちゃ勉強になる本です。
講義の「ネタ本」として紹介される「黄金伝説」(聖人列伝的な本)も面白そうなので機会を見て読もうと思う。