NOIZ NOIZ NOIZ

1999年スタートの特殊音楽個人サイト http://www.noiznoiznoiz.com/ からこちらに移動してきました

4/8 シーナの日(Sheena & The Rokkets feat. Lucy Mirror) at 下北沢GARDEN

今年の「シーナの日」は2デイズでゲストに細野晴臣が出演!行くしかねえ!ということで二日目の4/8のチケットを取ったのだが、前日になってよくよくみたら細野さんの出演は7日だけだと発覚。一緒に行った妻から「なんでよく確認しない!」と超叱られました……

さておき例によってライブはロケット発射カウントダウンのSEから、鮎川ヴォーカルの三人でスタート。「Virus Capsule」等々30分ほど?演奏したところでゲストというかもはやレギュラーに近い愛娘、Lucy Mirrorが呼び入れられ、「Sweet Inspiration」~「Happy House」の流れで早くもこちらは涙腺崩壊。定番化してきた感があるけどやっぱり抗えないのです。壁に大きく貼り出されたシーナの写真に見守られてLucyもだんだんのびのびと歌えるようになってきてる印象。
2日目だからか、音響も演奏も好調だった気がする。とくにベースがなかなかいい感じで響いてたな!
Victorからの諸作品がまとめて再発されたということで、けっこう珍しい曲も披露。ちなみに鮎川的にオススメなのは『#9』とのことだった。
♯9
シーナ&ロケッツ
B002PF3BLI

3/29 TABOO LABEL PRESENTS HOLIDAY VOL1Gentlman’s PAY DAY at 代官山UNIT


  • ド平日なのに「HOLIDAY」とはこれいかに。さておき菊地成孔主催のソニー内レーベル「TABOO」がショウケース的なシリーズライブをスタート、2500円で3バンド出演で、マンスリーで続けていくそうです。TABOOレーベルから2アクト、レーベル外から2アクト。記念すべき一回目は外部からWONK、レーベル内からはオーニソロジー(新人)と菊地成孔ソロ。
  • 残念ながら仕事が終わんなくてトップのオーニソロジーは見れなかったのだが、DCPRGからのリズム隊が超強力だったとのこと。観たかったなあ。
  • 幸い、ゲストアクトのWONKは最初から観ることができた。妻が好きなのだが、ぼくはちょこっと聴いたことはある、という程度。ロバート・グラスパー系R&Bの最新型みたいなイメージだったのだが生で観るとあんまそういう印象でもなかった。むしろジャミロクワイっぽい。サチモスもやたらとジャミロジャミロ言われる昨今だが、いまジャミロクワイが来てるのだろうか。ベースがシンベになる曲もあるのだけど、そこで突然低音がものすごいことになり、むしろジェイムズ・ブレイク的に聞こえたりも。途中で菊地さん参加もあり。
  • 最後の菊地成孔ソロはギター、ベース、ドラム、キーボードの基本メンバーに曲によってコーラス隊やラッパー隊が入るというもの。まずはこのバンドが実にいい!菊地さん関連のたいていのバンドに参加している坪口昌恭さん(マイケル・モンローとサム・ヤッファのような関係か)がまずはいい。エレピ中心にシンセも少々といった感じで、いずれもいい。他のメンバーもいちいち演奏が素晴らしい。コーラス勢も全員最高、ゲストラッパー勢もかっこいい。いやほんといいバンドだわこれ。ぜひとも音源を!

【33枚目】Yoko Ono / Plastic Ono Band

ヨーコ・オノといえばロック史上もっとも嫌われた人物のひとりであろう。とはいえジョン・レノンと出会う前から現代美術界ではもともとけっこうなビッグネーム。なにせ元フルクサスですからね。
さて、そんな彼女の記念すべきファーストアルバムがこれである。邦題は『ヨーコの心』で、同時期に発売されたジョンの『ジョンの魂/Plastic Ono Band』とセットになっている。『ジョンの魂』もすごいアルバムなのだが、こちらもまた強力だ。
PLASTIC ONO BAND
YOKO ONO
B01LOJD5SE

メンバーは基本的にはクラウス・ヴアマンとリンゴのリズム隊に、ジョンがギターという『ジョンの魂』をよりシンプルにした編成。B面一曲目の「AOS」のみオーネット・コールマンのグループと録音している。
まあとにかくこのバンドの演奏がすごいのだ。タイトなリズム隊にソリッドなギター、完全に早すぎたノーウェーヴ。ヨーコのヴォイスもフリージャズのサックスみたいに聞こえなくもないので、ちょっとコントーションズみたいに聞こえたりする。
フルクサス周辺の実験音楽の多くは、よくも悪くもコンセプチュアル・アートでしかないというか、譜面に書かれた指示が全てであって、出オチというか実演することをあまり考慮されてないことが多い。それに対してこちらは出している音自体が超かっこいいところがいいですね。
古い世代のロックファンから嫌われがちなアルバム、半ばなかったことにされているアルバムというのがいくつかある。いますよね、ルー・リードの『メタル・マシーン・ミュージック』を悪い冗談としか思えない人とか、『ジャジューカ』をもって「ブライアン・ジョーンズには実は才能なんかなかった」とか言っちゃう人とか。いずれも今となってはある種の好事家からは愛好されているわけだが、ヨーコ嫌いというのもそれに近いものがある気がする(ビートルズ解散にまつわる恨みというのももちろんあるとして)。
ありえないことだけど、仮にヨーコがジョンと出会っておらず、ニューヨークの若いミュージシャン(リチャード・クワインとか)を起用してこんなアルバムを作ってたりしたら、キャプテン・ビーフハート級のカルトスターになっていたかも、とか夢想したりしました。完全にニューヨークの音だし、彼女自身のニューヨークでのもともとのポジションなど考えればありえない話ではないはずだ。なんならジョン・ケールあたりをプロデューサーに迎えたりするかもしれない。うわー、超かっこよさそう!

【15冊目】中山康樹『ジャズの歴史 100年を100枚で辿る』

2017年は「ジャズ百年」だそうである。もちろんそもそもジャズという音楽の発祥を遡っていくとどこまで行っても辿りきれない(そしてどこからどこまでがジャズなのかにも諸説が出てくる)わけで、この場合は初めてのジャズのレコードが出てから100年ということだ。
ジャズの歴史 100年を100枚で辿る (講談社+α新書)
中山 康樹
4062728737

で、この本は「100枚で辿る100年」ということだが2014年刊行。まあだいたい100年てことですね。特徴としては名盤ガイドではなくあくまで「100枚のアルバムを通してジャズの歴史を辿る」のを目的とした本であるということ。必ずしも「名盤」が時代の空気を反映しているわけではないということで、オルガン・ジャズやソウル・ジャズ、それにヴィンス・ガラルディジョージ・ベンソンなど、むしろ今や「正史」では無視されているがリアルタイムでは広く聞かれていたような盤を拾っているのが面白いところだ。
ジャズはまだたかだか100年だしロックはもっと短いわけだが、たとえば文学なんかだと「数百年後には20世紀の作家で残ってるのは漱石と春樹くらいだろう」みたいなことをよく言われる。でも、歴史を辿るということ、時代ごとの空気感を感じようと思うと、そういう「歴史に残るもの」ばかりではおそらく見えてこないものがある。四方田犬彦が近年、アジア映画の研究に際して大衆映画に注力しているのもそういうことなんだと思う。
あと、所謂「名盤」よりも「正史」で無視されてきた徒花っぽいものが、むしろ(ヒップホップとかレアグルーヴを通じて)今のリスナーには受け入れられやすくなった状況というのも踏まえられている。このへんしっかり捉えているのも流石というか、大したものだ。
なんとなく「売れたものに冷たい」ところがある(と、本書では再三言われている)ジャズ史の世界にあって、面白い切り口なんじゃなかろうか。もっとも2014年刊行ということでいわゆるJTNC以降のジャズというのは反映されていない。JTNC以降、ポップなものを拒絶しないジャズ批評というのが出てきているので、さらなる更新がされるのを期待したいところであります。

Jazz The New Chapter 4 (シンコー・ミュージックMOOK)
柳樂 光隆
4401643615

MILES : Reimagined 2010年代のマイルス・デイヴィス・ガイド (シンコー・ミュージックMOOK)
柳樂 光隆
4401643178

2017年3月中旬の日記

3/11(Sat)

EARTHDOMでENDON。久しぶりに会う人多数で楽しい!
junne.hatenablog.com
職安通りのなぜ蕎麦にラー油を入れるのか。でカレーつけ蕎麦。旨い。

3/12(Sun)

来週の同窓会でPCDJをやってみようと思いたちとりあえずざっと50曲ばかり選曲した。Ziggy「Gloria」から米米CLUB「KOME KOME WAR」まで、中学時代を彩った名曲を中心に。

3/13(Mon)

撮影用に買って余った駅弁をいただく。旅先でも駅弁大会でもないのに駅弁を食べるというのも不思議なものである。
ジョセフ・コンラッド『闇の奥』読了。なぜか『地獄の黙示録』よりも『バンコクナイツ』中盤のイサーン~ラオス編を思い出す。
闇の奥 (光文社古典新訳文庫)
コンラッド 黒原 敏行
B00H6XBCCY

3/14(Tue)

エラリー・クイーン『ローマ帽子の謎』を携えて会社帰りに吉飲み読書。ホッピーがあるのが嬉しい。

ローマ帽子の謎【新訳版】 (創元推理文庫)
エラリー・クイーン 中村 有希
4488104363

3/15(Wed)

西荻の大岩食堂で昼食。ポークとアサリのカレーを加えたミールス。前にここで食べたサンマのカレーもそうだったのだが、アサリのカレーが少々食べにくい。殻付きだと見た目はいいんだけど、剥き身のほうが食べやすかった気がするな(殻付きのほうが出汁が取れるとかあるのかもしれないけど)。

義妹の友達が始めたというカフェのために、妻とBGM選曲会。結局アルマンド・トロヴァヨーリが採用になった。アラフォー~アラフィフはとりあえず渋谷系の元ネタ的なやつを挙げとけばオシャレだと思ってくれるので楽である。

3/16(Thu)

節約の本を作るために資料を色々読んでたら居ても立っても居られない気持ちになり、Zaimにここ最近の出費をガンガン入力。来月から引き締めよう……。
渋谷Loft9で『ヒップホップコリア』イベント。
junne.hatenablog.com
嵯峨谷で蕎麦食って帰る。

3/17(Fri)

深夜にアウトブレイクで野球トーク。闘病中の赤松にエールを送るべく赤松ユニで臨みました。今シーズンの展望についてはあまり身のある話ができなかったが、昨年の広島旅行の話が割りと受けたのでOK。
2016 広島 カテゴリーの記事一覧 - NOIZ NOIZ NOIZ

3/18(Sat)

野球イベントの後、5時から始まった「1週間住み込みギグ」に関する激論ツイキャスを見学して帰宅。
夕方まで寝る
朝まで同窓会。1時間ほどDJをやる。PCDJ機材を初めてちゃんと使ったのだが(家でちょっとはいじってたけど、基本操作の把握程度で練習とかはまったくしてない)、わりと普通にできたのではないかと。DJやる機会は増やしたいかも。

3/19(Sun)

夕方まで寝る。ほぼ一日使い物にならず……。

3/20(Mon)

旅行に行く妻を駅まで車で送る。GUNS'N'ROSESをかけつつ例によって超安全運転。
昼食に「名古屋名物台湾ラーメン韓国風」を作る。もはやどこの料理だか不明だが、要するに豚挽き肉・菜っ葉・玉葱を、胡麻油・大蒜・鷹の爪・豆板醤・花椒八角で炒めたものを、辛ラーメンにOn!したものである。ありもので適当に作ったにしては美味。本当はニラが欲しかったんだが。

ユニオンにCDとレコードを大量に持ち込むが、精算が明後日までかかると言われる。やはり20%アップ期間中は混みますな……。

3/16 『ヒップホップコリア』 トークイベント at 渋谷LOFT9

パブリブから昨年発売された韓国ヒップホップの徹底ガイドブック『ヒップホップコリア』の著者鳥居咲子さんが、BMRの丸屋九兵衛編集長およびラッパーのZEN-LA-ROCKさんを迎えてトークイベントを行うというので行ってまいりました。ちなみに『ヒップホップコリア』はノイズ堂でも好評発売中であります。
noiznoiznoiz.stores.jp

前半は鳥居さんによる韓国ヒップホップ概論。まずは簡単な歴史を説明。
92年ごろにソテジやDEUXなどが登場するが、その時点ではまだ「ラップを取り入れたロック/ポップス」という感じ。
90年台後半から本格的にヒップホップカルチャーが取り入れられ始める。それまでは政治状況も関連してリアルタイムのヒップホップが入ってきにくい状況もあったのではないか(この辺、インディロックの話とも通じる。韓国ではハードコアパンクシーンができるのが大変遅かったのだ)。
韓国ラップ/ヒップホップの特徴として鳥居さんが上げるのが以下の三点

  • 韓国語の語感
    • 語感が非常にラップ向きであるという話だが、この辺は本に詳しく書いてあるので割愛(買ってください!ノイズ堂で!)
  • サウンドの多様性
    • ロック/ポップス寄りのトラックも多用され、サウンド面に縛りが少ない(ので、ポップス系のファンも入りやすい)
  • 好青年が多い
    • 美青年と言ったほうが正確ではないかとのツッコミあり。まあいわゆるB-BOYよりも、K-POPアイドルにぱっと見近いような人が多いという話である

また、オーヴァーグラウンドとアンダーグラウンドの境界が希薄で、完全DIYでやってるインディーアーティストの曲がテレビCMに使われたりもしているとか。
と、ここで一曲、Keith Ape - 잊지마 (It G Ma) (feat. JayAllDay, Loota, Okasian & Kohh)。Keith Apeはこの曲がYouTube経由でアメリカでも注目され、今や活動拠点をアメリカに移している。その際にインタビューで結構韓国ヒップホップシーンをdisってて、それに対してビーフが起こりかけたのだが、「英語が拙くてうまく伝わらなかった」と言って逃げた模様w

また、「今一番熱い曲」として紹介されたのがBewhyの「Forever」。韓国大衆音楽賞の最優秀ラップ&ヒップホップ楽曲賞を受賞した曲で、三部構成の組曲になっている。メロウな感じで始まったと思ったらサウス的なミニマルなビートになり、最後は8分の6拍子になるという展開だが、それを難なく乗りこなすラップのスキルがパねえ、というやつである。

後半はまずZEN-LA-ROCKが韓国のラッパーKIRINとコラボを行った経緯について。KIRINは今時珍しいニュージャックスイングをこよなく愛するラッパーなのだが、ZEN-LA-ROCKもNJS曲をリリースしているのを探し出したようで、最初は先方から訪ねてきたのだけれど、会ってみたら異常にシャイで全然話せなかったとか。とはいえせっかくだからと韓国で客演してみたところ、日本ではなかなかないくらい大いに盛り上がったこともあり、コラボ曲「PURPLE JACK CITY」 につながった。再度韓国にてニューイヤーコンサート?みたいなのに出たら何千人規模の会場が大盛り上がりだったとか。
韓国のオーディエンスの反応は極めて熱狂的で、ラップへの飢餓感・渇望感があるのでははないかとのこと。

けっこう押しちゃって個人的に楽しみだった丸屋さんのコーナーがちょっと短めに。
まず丸屋さんが初めて韓国ヒップホップに興味を持ったのはH.O.T。「ビジュアル系みたいなルックスでラップをやってるのが衝撃。西太后みたいな爪をつけていた」とのこと(笑)


Aziatixのニッキー・リーはなぜか母国韓国ではなく台湾で北京語R&Bを歌い成功、のちに米・台湾・韓を結ぶ存在となったとか。
またBIG BANGや防弾少年団のメンバーがいかにマニアックなR&B知識を持ち合わせているかという話も丸屋さんならではで興味深かった。BIG BANGのテヤンが「フィリピン系オーストラリア人R&Bシンガーのイスラエル」(これだけで3つも国名がw)の曲をカヴァー。防弾少年団のメンバーは好きなアーティストに213(スヌープ・ドッグが身内を率いて結成したグループだが、アルバム1枚しか出していない。ちなみにぼくも好きです)。
音楽に関するマニアックな知識についてはだいたい一般的に日本人(およびドイツ人)が頂点と言われているが、韓国には突発的に世界有数クラスのものすごいマニアが存在するのかも、という指摘はなかなか興味深いものがあった。
なお、3/25(土)には鳥居さんの企画でPaloalto & Evoという親友同士の来日公演が行われる。なんと同じくLoft9にて、ランチショー(ディナーショーならぬ)形式で行われるという。ブルーノート公演とかをもうちょっとカジュアルにした感じだということなのだが、ヒップホップのライブでそんな形式なかなか聞いたことがない。冒険的すぎる企画なので応援したいと思います!

LUNCH PARTY with PALOALTO & EVO
OPEN 11:00 / START 12:00
VIPチケット対象:Meet & Greet
開始 15:00 | 終了 16:00
一般チケット:¥4,800
VIPチケット:¥9,800(限定30名)
【出演】
Paloalto
Evo
DJ Chika a.k.a Inherit

LUNCH PARTY with PALOALTO & EVO – LOFT PROJECT SCHEDULE

【32枚目】UP-BEAT / Weeds & Flowers

UP-BEATの5枚目にして3人時代最初のアルバムである。
まあ、当時高1の自分としては、突然の東川(ギター)&水江(ベース)脱退には大変ショックを受けたし、これからどうなるんだろうと思ったわけなのですが、このアルバムが素晴らしかったので「こりゃ全然心配いらねえや」と思ったものだ。たぶん『HERMIT COMPLEX』と並び最高傑作なんじゃなかろうか。
ブリティッシュロック的なメロディのよさ&内省的な歌詞という従来のスタイルに加え、全体にこれまでになく骨太になった岩永凡のギターがなんといっても聞き所。
たとえば前にも書いたが、まずはNHKのJUST POP UP出演時に演奏された「Angel's Voice」のギターがえらくかっこいい。
youtu.be

それと、サポートメンバーに佐久間正英ホッピー神山という豪華メンツを揃えたこの演奏がまた最高。
youtu.be

イントロダクション的なインストからの”悩殺のブギ”ナンバー「Dance to the Ruin」でまずガツンとやられ、以後続くややサイケデリックなサウンドには個人的に決定的に影響を受けているなあと最近つくづく思う。なにせ半端なく聴き込んだからね。
このアルバムを引っさげて伝説の「嵐の野音」に至る1990年というのは、メンバー脱退という危機を乗り越えてバンドが大きく飛躍した年だったと思う。
youtu.be

このあと暗中模索状態に突入する印象があるのだが、それについてはまたいずれ。