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【38枚目】Dhafer Youssef / Diwan of Beaty and Odd

ちょっと前、Donny McCaslinのアルバムを(ボウイが歌っている曲が入っているのでそれを目当てに)買った際に、売り場でフィーチャーされていて興味を持って買った一枚。予備知識ゼロだったのだが、チュニジアの民族楽器でジャズをやってるとか言われると興味あるじゃないですか。
しばらく積んであったのを最近ようやく聴いたのだが、これがまあ思った以上に面白かったのだった。

Dhafer Yousseはチュニジア出身のウード(琵琶っぽい絃楽器)奏者兼ヴォーカリスト。伝統音楽を学んだのち、北欧ジャズに影響をされたとのことで、現在はフランスを拠点に活動している。
このアルバムは2016年リリースの7作目で、Dhafer Youssef以外のメンバーは以下の面々。

アーロン・パークス(P.)
ベン・ウィリアムス(B.)
マーク・ジュリアナ(Dr.)
アンブロース・アキンムーシレ(Tp. )

ざっくり言っちゃうとニューチャプター系の錚々たる顔ぶれである。マーク・ジュリアナはボウイの『★』で当ブログ的には有名ですね。
まずはこれって何拍子なの???となる強力な変拍子に度肝を抜かれる。とはいえ腕利きのメンバー揃いながら、テクニックの応酬って感じではなく(いや、強烈に上手いんだけど)むしろエキゾチックではあるんだけど必ずしもベタな中東的旋律ってわけでもない美しいメロディが魅力だろう。特にピアノの優美さは北欧ジャズの影響が見て取れるところかと。

そんな中で特にびっくりするのがヴォーカルで、時折とんでもないハイトーンが飛び出すんだけどこれどうやってるんだろ。

これはレコ屋でDonny McCaslinと並べて置かれていなったらおそらく出会うことのなかった一枚である。レコ屋での出会いって大事ですねというお話でした。

DIWAN OF BEAUTY & ODD
DHAFER YOUSSEF
B01JBHA5SY

Beyond Now [国内盤解説付]
Donny McCaslin
B01JSBO9C6

★(ブラックスター)
デヴィッド・ボウイ
B0189JGNSQ

【37枚目】Yacine & Oriental Groove / Parabolic

ゼロ年代半ばくらいだと思うんだけど、スペインのバルセロナで「Radio Chango系」と呼ばれるムーヴメントがあった。
Manu Chao、Fermin Muguruza、Muchachito Bombo Inferno等々、音楽性としてはレゲエやスカ、パンクなどをベースに、フラメンコや東欧のジプシー音楽などの哀愁のメロディーが乗ったりするミクスチャーサウンド。それにThe Clash的なレベルミュージックであるというところが共通していると思われる(むしろそこで連帯してたんだろうね)
Yachineはそのシーンで活動してきたミュージシャンで、Yachine & The Oriental Grooveというのは彼のソロプロジェクト。本作は2011年にリリースされたファーストアルバムだ。

バンド名に「オリエンタル」とあるように、サズやブズーキといった中東の楽器が使用され、全体的にアラビックな旋律がフィーチャーされているのだが、やはりどこかThe Clash系の熱さがある。それと基本的にリズムが重い(特にドラム)ので、アラビックでありつつもノリはロックだったりする。

この辺のミュージシャンについては以前はちょこちょこ聴いてたものの最近はめっきりチェックしなくなってしまったのだけれど、いま思えばぼくの愛するMarjinalやVivisickにも通じるものがある気がするので改めて最近の動向もチェックしてみよう。あ、そういえばムチャチートのソロが出たなんて話もつい最近聞いた気がする。
スペインなのに中東音楽?と昔なら思ったかもしれないが、モロッコが思いのほかスペインから近いのを昨年実感してきたところなのでなんとなく納得できるところもある。

Parabolic
Yacine & Oriental Groove
B004OASU0E

【36枚目】Precious Makina / Bel3akss

昨年モロッコで買ったDVD。 よく見ないでCDだと思って買ったらDVDだったのだけど、調べてみたところ、他に「CDのみ」「CD+DVD」と言う形態でリリースされているらしい。CDも欲しかったな……。

Precious Makinaというのは女性ボーカルを含む7人編成のバンド。このDVDはスタジオライブを収録したものなのだが、どうも2009年にCDがリリースされた際にボーナスDVDとしてアルバム収録曲を演奏して撮影したものらしい。
ウードやケンブリといった民族楽器を演奏するメンバーもいる。ただし専任ではなく、基本的にはギターとかで曲によって民族楽器に持ち替えるというという感じなので、全曲で民族楽器がフィーチャーされているわけではない。
4拍子と8分の6拍子のポリリズムをバックに歌われるオーガニックソウル風の曲もあればウードをフィーチャーしたアラビックな曲もあり、さらにはSavagesあたりを思わせるダークなロックナンバーもあり。とはいえとっちらかった印象にならないのはボーカルがしっかりしているからなのかな。女性ボーカルだがドスの聞いた声でかっこいいんです。

基本的にはアラビックなメロディをちりばめたロックバンドという感じ。なかなかいいバンドだと思うのだが調べてもなかなかネットには情報がない。多分もうやってないんじゃなかろうか。このバンドとボーカルを含めたメンバーが重複したFarida and Friendsというバンドのライブ映像があったけど、そちらもあまり情報が見当たらない。興味あるので引き続きこのバンドについては折を見て調べてみようと思う。

【35枚目】Mei Zhiyong / 2016 Tour in China Live Performance

本日も中国のノイズのCD−Rです。

昨年アップリンクで上映された中国ノイズのドキュメンタリー映画と『Sonic Rituals 声响仪式』は北京を拠点とするMei ZhiyoungとスイスのノイズアーティストDave Phillipsが2014年に行った中国17箇所をめぐるツアーの様子を収めたものだった。
演奏や移動の様子なんかも面白いのだが、なんといっても興味深いのは公演後の聴衆の反応。「いったいお前たちは何のつもりでこんなことをやってるんだ」みたいな感じで食ってかかる客がいたり。日本だとそれが笑い話で済むところなのだけど、中国では公序良俗に反する公演を行なっていると密告されたりすると、実際に活動が禁止されることもありうるので問題は深刻なのだ(今後日本もそうなるのかもね……)。
歌詞が規制の対象になる(ミュージシャンはみんな活動するにあたってオリジナル曲の歌詞を提出させられる)のは知ってたけど、ある意味では抽象表現であるノイズはその辺り比較的自由なのかなと思ったら全然そんなことはないというのはショックだった。

さて、会場で売られていたそのMei ZhiyongのCD−Rはその後の2016年に行われたツアーでのライブ演奏を収録したもの。
黒い厚紙のシンプルなケースにクラストっぽいパッチがホチキスで貼り付けられているだけの簡素なパッケージ。盤は一瞬単なるホワイトラベルのCD−Rに見えるけどよく見ると外周部分にタイトルとかが記入されている。それによると4都市でのライブを収録したもののようだ。
怒涛のハーシュノイズあり、リズムトラックの上にスペーシーなシンセを乗せたコズミックノイズあり、マゾンナ的な絶叫を加工したノイズありの全76分。長いけどそれぞれに面白く、退屈せずに聴けた。さすがは現在の中国で最も精力的に活動するノイジシャンである。

【34枚目】Dee / SONGSYOUCANNOTLISTENTOWHENYOUAREDRIVING

こちらも中国のノイズ作品。CD−R二枚組。

Deeは様々な形態で活動しているミュージシャン/パフォーマーで、サンクラもあったりするくらいでなかなか外向きな活動をしているようである。
disc 1はバンドものとシンセものが交互に出てくる感じ。バンド物はちょっとソニック・ユースっぽいロック系のセッション。ギター、ベース、ドラムに加えて時折変な管楽器(なんだか不明だけど、空き瓶をフーってやってるような音)が入ることもある。ドラムがリズムキープしてると、上物がかなり暴れててもロックに聞こえますよね。シンセものはテクノっぽいトラックの上にぶっといブヨヨヨヨーーンっていうシンセが乗っかるという形。disc2はバンドものはなしで基本的にシンセ系のみ。
サンクラからも他にも結構多様な活動していることがうかがえる。いかんせん中国という様々な制約のある国を拠点にしているハンデはあるが、なるべく注目し続けたいと思った。

サンクラ
soundcloud.com

【告知】日曜日は二度来る! 5/28(Sun) at 四谷アウトブレイク 【早朝ギグ】

今年2回目の早朝GIGは強烈に強力なラインナップでお届けしますよ!
これはさすがに来るしかないんじゃないの?
朝から豊田道倫さんとかどう考えても最高なんじゃないかと。

ぼくは今回は.esやkito mizukumi rouberなどで活躍しているサックス奏者の橋本孝之さんとデュオでやらせていただきます。


2017年5月28日(日)
OPEN/START 6:00
CHARGE 1,500円(1D込)
at 四谷アウトブレイク
www.hor-outbreak.com

ACT:
若林美保
isshee(b:TRANSPARENTZ、共犯者)+川口雅巳ニューロックシンジケイト、The Hardy Rocks)
junne(Galaxy Express 666)+橋本孝之(.es)
T.美川(非常階段・INCAPACITANTS・mn・MikaTen)
豊田道倫
XU/XU
八尾ポップ

【33枚目】Usisi / Sitar Street

昨年アップリンクで中国のノイズシーンに関するドキュメンタリー映画上映+ミニライブというイベントがあって大変に興味深い内容だったのだけど、その際に何枚か買ったCD-Rが最近未聴CDの山から発掘されたので聴いてみた。
www.uplink.co.jp

まず盤面が赤いので驚く。

Usisiはギタリストのソロプロジェクト。よく覚えてないんだけどアップリンクでもサイケデリックギターソロみたいな感じで演奏してた気がする。
このCD-R作品は別にシタールが入ってるわけではなくて、ギターとストリートノイズで構成されている。ゆったりした感じのサイケギターの後ろの方で街の音が時折聞こえてくる、という感じ。ひょっとすると、その街の音の切り取り方に何かコンセプトがあるのかもしれないが、残念ながらそこまではわからなかった。
ギターも終始そんなに激しくないし、どちらかというと叙情的な印象で、えーと、田壮壮とかの映画の1シーンを切り取ってきたような感じに聞こえた。