NOIZ NOIZ NOIZ

1999年スタートの特殊音楽個人サイト http://www.noiznoiznoiz.com/ からこちらに移動してきました

【40枚目】DRiVERS SET / With a Full Throttle

広島で買ったCD−Rの一つ。地方のレコ屋で地元のバンドを見たり音源を買ったりするのが好きなのだ。そういう意味ではタイや韓国に行こうが広島や山形に行こうがやってることはあまり変わらない。とりあえずポップを頼りに予備知識ゼロで購入。


DRIVERS SETは広島を中心に活動している爆走ロックンロールバンドである。2006年結成で、本作は2009年の1stデモ。イントロを含めた5曲入り(実質4曲)。イントロはバイクのエンジン音なのだが、実際にバイカーたちが集まって結成されたらしい。
ネットを見るとZEKEやMOTORHEADと言った名前が挙がっているが、まあ基本的にはそういう感じのバイカーズロックンロール。あとはジャパコアっぽい哀愁リフもちょこっと出てきたりする。ハイトーンの絶叫ボーカルが熱い。
サイトを見るとだいたい月1くらいのペースでライブをやっている。対バンが知らないバンドばっかなので逆にどんなシーンなのか興味が沸く。ライブが絶対かっこよさそうなサウンドなのでいつか現地で見てみたいですね!
driversset.web.fc2.com

【39枚目】森本在臣 / タイムライン

以前にNOIZ NOIZ NOIZ FMの「微妙な自主盤特集」という会に出演していただいた森本さんの新作はアコギ弾き語り一発録りで録音されたもので、テープ(プロコピー!)のみのリリース。まずジャケが素敵。

episode 6 realindependent: talkin about self made...

今作のコンセプトは架空のデモテープである。まずは頭の中でバンド編成による完成形をイメージして作曲し、そこから逆算して元になるデモテープを再現してみるというもの。なんでわざわざそんなことを、という迂遠なコンセプトにも思えるが、ぼくもデモヴァージョンを聴くのは好きなので気持ちはわからんでもない。ボウイのCDのボーナストラックに入ってる弾き語りとか、結構いいですよね。

70年台前半にビートルズに憧れたのはいいがエレキを買えなかった青年が、いつか結成するバンドのために作ったデモテープ(でもブライアン・ウィルソンの影響もある)とは本人の弁。で、聞いてみるとビートルズっぽいかいうとそんな感じはあまりしなくて、弾き語りだし、どちらかというと悲しい曲調が多いので、やはりフォークに聴こえる。しかし70年ごろだとビートルズに憧れつつも同時代のフォークにも否応なしに影響受けちゃってるのかな、なんて空想が広がったりもする(考えすぎかしら)。
ギガーは基本的にはジャカジャカとシンプルなコードストロークで演奏しているのだが、時折単音のリフが入るあたり、バンド演奏のためのデモテープらしさを強めている感じである。
「デモテープ風」とはいえそこまでラフなものではなく、ところどころヨレたところは残しつつも演奏はしっかりしてるし、何より曲がいいので、これ自体が作品として聞くに耐えるというか、むしろすごくよくできていると思う。
でも、どうせならこれをバンドでやったものも聴いてみたいなあ。

なお、購入は通販のみなので本人にtwitterなどで直接問い合わせるといいです。

twitter.com

5/28 「日曜日は二度来る!」 at 四谷アウトブレイク

  • 今年2回目の早朝GIGは大変な豪華ラインナップでありました。
  • 7時過ぎに会場入りすると、トップバッターのアカバネが終わりかけくらい。よくわかんないけどおもちゃの万札をばらまいた形跡がw
  • 続いても早朝常連のXU/XU。ノイズと映像が連動するシステムを組んでの演奏。セッティングの際にちょっとトラブってた様子だったけれど実際の演奏では問題なし。セッティングの拡張も考えてるそうなので、今後の展開も楽しみだ。

https://www.instagram.com/p/BUnOgZ7FMns/
始まってます!

  • その次はぼくとサックス奏者橋の本孝之さんに夜デュオ。序盤は自分なりにジャズっぽくやったつもりなんだが途中からはサックスが高音で切り裂くような感じで来るのに対して低音のフィードバックで応じる感じに。結構よかったんじゃないかと。

junne + 橋本孝之

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  • で、次のヤスエさんことYDOでんじゃらす弾き語りはちょうどぼくが片付けてるところで会場入りしてそのまま演奏に。昨晩DJやって続けて呑んでてそのまま来たという。日曜日が二度来るどころか土曜日が終わらないタイプ笑。声が酒焼けしていると言って苦笑しつつも、いつもながら沁みます。

https://www.instagram.com/p/BUnXK_-FCZz/
YDOでんじゃらす弾き語りいつもながら朝から染みますなあ

  • いっしーさんと川口雅巳さんのデュオは緞帳も上がらないうちからの轟音でどかーんとかましつつ、途中に歌も入ったりして、なかなかロックしてる感じで良かった。

  • 久々登場の若林美保さんはレーザーなんかも使ったサイバーな感じで超かっこいい。

早朝ギグ

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  • そして早朝初登場の豊田道倫さん。戸惑いもありつつどことなくリラックスして演奏している感じが早朝ならではのノリだったのではないかと。最後にわかみほさんのダンスをフィーチャーした曲も。


  • で、続くはレギュラー出演者のT.美川さんなのだが個人的にはこれが本日のハイライトだった。カリンバみたいな音のループ(?)が流れ始め、そこに電子音を乗せていく。電子音も美川さんと言って思い出される攻撃的でビキビキな音ではなくて、ある種スペイシーな感じで、全体的にコズミック・サイケな印象を受けた。少なくともぼくが今まで見聞きしてきた美川さんの演奏とはだいぶ異なっていて大変に驚いた。


  • 最後はもちろん八尾ポップさんのコントで笑って終了。恒例の外での記念写真はもはや完全に夏の日差しだった。

【38枚目】Dhafer Youssef / Diwan of Beaty and Odd

ちょっと前、Donny McCaslinのアルバムを(ボウイが歌っている曲が入っているのでそれを目当てに)買った際に、売り場でフィーチャーされていて興味を持って買った一枚。予備知識ゼロだったのだが、チュニジアの民族楽器でジャズをやってるとか言われると興味あるじゃないですか。
しばらく積んであったのを最近ようやく聴いたのだが、これがまあ思った以上に面白かったのだった。

Dhafer Yousseはチュニジア出身のウード(琵琶っぽい絃楽器)奏者兼ヴォーカリスト。伝統音楽を学んだのち、北欧ジャズに影響をされたとのことで、現在はフランスを拠点に活動している。
このアルバムは2016年リリースの7作目で、Dhafer Youssef以外のメンバーは以下の面々。

アーロン・パークス(P.)
ベン・ウィリアムス(B.)
マーク・ジュリアナ(Dr.)
アンブロース・アキンムーシレ(Tp. )

ざっくり言っちゃうとニューチャプター系の錚々たる顔ぶれである。マーク・ジュリアナはボウイの『★』で当ブログ的には有名ですね。
まずはこれって何拍子なの???となる強力な変拍子に度肝を抜かれる。とはいえ腕利きのメンバー揃いながら、テクニックの応酬って感じではなく(いや、強烈に上手いんだけど)むしろエキゾチックではあるんだけど必ずしもベタな中東的旋律ってわけでもない美しいメロディが魅力だろう。特にピアノの優美さは北欧ジャズの影響が見て取れるところかと。

そんな中で特にびっくりするのがヴォーカルで、時折とんでもないハイトーンが飛び出すんだけどこれどうやってるんだろ。

これはレコ屋でDonny McCaslinと並べて置かれていなったらおそらく出会うことのなかった一枚である。レコ屋での出会いって大事ですねというお話でした。

DIWAN OF BEAUTY & ODD
DHAFER YOUSSEF
B01JBHA5SY

Beyond Now [国内盤解説付]
Donny McCaslin
B01JSBO9C6

★(ブラックスター)
デヴィッド・ボウイ
B0189JGNSQ

【37枚目】Yacine & Oriental Groove / Parabolic

ゼロ年代半ばくらいだと思うんだけど、スペインのバルセロナで「Radio Chango系」と呼ばれるムーヴメントがあった。
Manu Chao、Fermin Muguruza、Muchachito Bombo Inferno等々、音楽性としてはレゲエやスカ、パンクなどをベースに、フラメンコや東欧のジプシー音楽などの哀愁のメロディーが乗ったりするミクスチャーサウンド。それにThe Clash的なレベルミュージックであるというところが共通していると思われる(むしろそこで連帯してたんだろうね)
Yachineはそのシーンで活動してきたミュージシャンで、Yachine & The Oriental Grooveというのは彼のソロプロジェクト。本作は2011年にリリースされたファーストアルバムだ。

バンド名に「オリエンタル」とあるように、サズやブズーキといった中東の楽器が使用され、全体的にアラビックな旋律がフィーチャーされているのだが、やはりどこかThe Clash系の熱さがある。それと基本的にリズムが重い(特にドラム)ので、アラビックでありつつもノリはロックだったりする。

この辺のミュージシャンについては以前はちょこちょこ聴いてたものの最近はめっきりチェックしなくなってしまったのだけれど、いま思えばぼくの愛するMarjinalやVivisickにも通じるものがある気がするので改めて最近の動向もチェックしてみよう。あ、そういえばムチャチートのソロが出たなんて話もつい最近聞いた気がする。
スペインなのに中東音楽?と昔なら思ったかもしれないが、モロッコが思いのほかスペインから近いのを昨年実感してきたところなのでなんとなく納得できるところもある。

Parabolic
Yacine & Oriental Groove
B004OASU0E

【36枚目】Precious Makina / Bel3akss

昨年モロッコで買ったDVD。 よく見ないでCDだと思って買ったらDVDだったのだけど、調べてみたところ、他に「CDのみ」「CD+DVD」と言う形態でリリースされているらしい。CDも欲しかったな……。

Precious Makinaというのは女性ボーカルを含む7人編成のバンド。このDVDはスタジオライブを収録したものなのだが、どうも2009年にCDがリリースされた際にボーナスDVDとしてアルバム収録曲を演奏して撮影したものらしい。
ウードやケンブリといった民族楽器を演奏するメンバーもいる。ただし専任ではなく、基本的にはギターとかで曲によって民族楽器に持ち替えるというという感じなので、全曲で民族楽器がフィーチャーされているわけではない。
4拍子と8分の6拍子のポリリズムをバックに歌われるオーガニックソウル風の曲もあればウードをフィーチャーしたアラビックな曲もあり、さらにはSavagesあたりを思わせるダークなロックナンバーもあり。とはいえとっちらかった印象にならないのはボーカルがしっかりしているからなのかな。女性ボーカルだがドスの聞いた声でかっこいいんです。

基本的にはアラビックなメロディをちりばめたロックバンドという感じ。なかなかいいバンドだと思うのだが調べてもなかなかネットには情報がない。多分もうやってないんじゃなかろうか。このバンドとボーカルを含めたメンバーが重複したFarida and Friendsというバンドのライブ映像があったけど、そちらもあまり情報が見当たらない。興味あるので引き続きこのバンドについては折を見て調べてみようと思う。

【35枚目】Mei Zhiyong / 2016 Tour in China Live Performance

本日も中国のノイズのCD−Rです。

昨年アップリンクで上映された中国ノイズのドキュメンタリー映画と『Sonic Rituals 声响仪式』は北京を拠点とするMei ZhiyoungとスイスのノイズアーティストDave Phillipsが2014年に行った中国17箇所をめぐるツアーの様子を収めたものだった。
演奏や移動の様子なんかも面白いのだが、なんといっても興味深いのは公演後の聴衆の反応。「いったいお前たちは何のつもりでこんなことをやってるんだ」みたいな感じで食ってかかる客がいたり。日本だとそれが笑い話で済むところなのだけど、中国では公序良俗に反する公演を行なっていると密告されたりすると、実際に活動が禁止されることもありうるので問題は深刻なのだ(今後日本もそうなるのかもね……)。
歌詞が規制の対象になる(ミュージシャンはみんな活動するにあたってオリジナル曲の歌詞を提出させられる)のは知ってたけど、ある意味では抽象表現であるノイズはその辺り比較的自由なのかなと思ったら全然そんなことはないというのはショックだった。

さて、会場で売られていたそのMei ZhiyongのCD−Rはその後の2016年に行われたツアーでのライブ演奏を収録したもの。
黒い厚紙のシンプルなケースにクラストっぽいパッチがホチキスで貼り付けられているだけの簡素なパッケージ。盤は一瞬単なるホワイトラベルのCD−Rに見えるけどよく見ると外周部分にタイトルとかが記入されている。それによると4都市でのライブを収録したもののようだ。
怒涛のハーシュノイズあり、リズムトラックの上にスペーシーなシンセを乗せたコズミックノイズあり、マゾンナ的な絶叫を加工したノイズありの全76分。長いけどそれぞれに面白く、退屈せずに聴けた。さすがは現在の中国で最も精力的に活動するノイジシャンである。