NOIZ NOIZ NOIZ

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6/13 テンテンコ+伊東篤宏(テンテンコ3デイズ3日目) at Bar Isshee

早いものでスリーデイズも三日目。本日も最前列に陣取る。最終日は伊東篤宏さんとのデュオ。間に休憩を挟んでじっくりと。

前半は伊東さんのサンプラーから流れる女性の声のループから始まり、オプトロンがリズムをリードしていきつつ、そこに電子音が乗っていくような構成。
後半はまた新展開というか、最後の方はちょっとゴスっぽいダークニューウェーヴみたいな雰囲気もあって超かっこよかった。

3日間通して基本的にセッティングはだいたい同じだったと思うのだけど、ネタの使い回しみたいな場面が全然ないのは大したものだと思う。即興演奏って演奏する相手の順列組み合わせでバリエーションができちゃうところがあるから、実は各個人がやってる演奏は「いつものやつ」だったりというのは往々にしてある。それはまあスタイルがあるってことでもあるから悪いことじゃないんだけど、限られた機材での引き出しの多さを目の当たりにして、我が身を振り返ってちょっと反省させられたりもしたのだった。

工業製品
テンテンコ
B01M5CRNLZ

Midnight Pharmacist
Atsuhiro Ito
B005F7F4JK

6/12 テンテンコ、Hair Stylistics、村田学(テンテンコ3デイズ2日目) at Bar Isshee

引き続きテンテンコ3デイズ2日目も最前列(初日と同じ席)で鑑賞。本日は対バン2組が先に演奏した後で最後にテンテンコのソロという流れ。会場は満員御礼、立ち見もあり。

1番手は狂うクルー/AKBKの村田学。エフェクターをずらりと半円形に10台ほど並べてのギターソロ。BOSSのデジタルディレイが2台あるのは、ディレイ用とループ用なのだろう。前半は中低音や電子音ぽくエフェクト処理した音色のフィードバックループアンビエントノイズ的な雰囲気で展開していく感じ。手元はあまり動かさないのであまり弾いてないように見えるけど、こういう演奏は結構集中力がいるのがわかるので、こちらも固唾を飲んで見守る。
途中から軽く歪んだギターでちょっと変わったコードを刻むカッティング反復に切り替わって行ったのだけど、なんとなくそのフレーズにはソニック・ユースの影響が見て取れた気がする。

続くHair Stylisticsはモジュラーシンセのソロ。セッティングがすごく大変そう(笑)。自分でも混乱気味っぽくて、「あ、あれを忘れてきた」「あ、ここにあった」みたいなのを延々とやりつつ、なんとか演奏開始。基本的にはぶっとい不穏な電子音。最前列で見てたので、つまみやらケーブルやらをたくさんいじっているのを見てるだけで盛り上がる(馬鹿っぽい感想……)。


最後のテンテンコソロはこの3日間では一番ポップだったかな。基本的にはノイズテクノちょいインダストリアルという感じなのだが、ビートを強調した感じで展開も単調でなく楽しい。ノイズとポップのさじ加減が絶妙というか、こういうのはやっぱセンスだなあ。

最後に3人でのセッションなんて話も事前にはあったのだけど、結局スペース的にどう見ても無理なので(笑)そのまま終了。

工業製品
テンテンコ
B01M5CRNLZ

The Slaughter Bill
Hair Stylistics
B018LGYO42

KURUUCREW
KURUUCREW
B01B2Z19TW

6/11 MikaTen(テンテンコ3デイズ1日目) at Bar Isshee

何を隠そう、現在ぼくが日本の若いミュージシャンで一番強い関心を持っている人の一人がテンテンコなのである。
もともと小川直人さん言うところの「オブスキュア・ニューウェーヴ」みたいなものが面白いと思っていた流れがあったところへ、昨年末に「黒光湯」で見たMikaTen(T.美川+テンテンコ)のライブが大変ヤバかったので注目せざるをえなくなったのだ(加えて最近自分でもシンセパンクみたいなのをやりたいなという機運が盛り上がってたり、というのもある)。

junne.hatenablog.com

と思っていたらなんとBar Issheeでテンテンコ3デイズなんてものがあるというので、速攻で予約。3日とも予約番号5番以内という前のめりな張り切り方で楽しみにしていたのです。

で、まず初日はまさにぼくが最初にガツンとやられたところのMikaTen。休憩を挟んで2セットの演奏で、まず1セット目は基本的にテンテンコのリズムトラックに美川さんがノイズを乗せていくという基本構成なのだけど、前回見た時はリズムもゴリッとしたノイズ/インダストリアルな感じだったのに対し、今回はよりテクノよりだったかな(トラック部分がリズムマシン系の音色中心だった、というだけかも)。
美川さんはインキャパや非常階段と違い痙攣とかはしないのだが、テルミン的な楽器を操る手の速さが尋常じゃない。

そしてもっと面白かったのが2セット目。先日の早朝GIGでの美川さんの演奏にも通じるキラキラした音色が中心で、単純にリズムと上物みたいな区分ではなく、より重層的に絡んでいく感じ。美しい。新境地。これはでかい音で聴きたいなあ。早朝GIGとかでやってくれないかしら。

Angel Noise
MikaTen
B019FX89UK

MikaTen Live
MikaTen
B01N64QRFT

6/7 Maria Schneider Orchestra at Blue Note Tokyo

現代ビッグバンドジャズの至宝、マリア・シュナイダー率いる楽団が来日。正直このところ金欠なのでブルーノートはちょっと厳しいのだが、幸い結婚式の引き出物のカタログの中にブルーノートで使える金券というものをいただいたのでこれ幸いと夫婦で行ってきたのである。


とか言いつつぼくは彼女の良いリスナーではなくて、名前は(『JTNC』なんかで読んで)知ってたものの、ちゃんと聴いたのはボウイがベスト盤『Nothing Has Changed』をリリースした際に収録された新曲「Sue」が初めて。ちなみに今回のメンバーには『★』にも全面的に参加しておりつい最近ソロでも来たばかりのダニー・マッキャスリンも参加している。ということで、まあボウイつながりで興味を持った次第。

当日は普段は数人しか上がらないステージに、3段の雛壇みたいな形でずらりとミュージシャンたちが並ぶ。総勢19名。編成的にはトロンボーンが4人もいるのと、アコーディオンがいるのが面白いと思った。
サックス5名、トランペット4名、トロンボーン4名が上手に3段に並び、下手にピアノ、アコーディオン、ギター、ベースが並ぶ形。ビッグバンドというとスイング時代のイメージというか、管楽器勢がユニゾンでブワーッとぶっ飛ばすみたいなイメージが強いけれども、このオケの場合は非常に繊細なアンサンブルを奏でる。
クラシックのスコアリングに影響を受けた複雑なスコアというのが現代ビッグバンドの潮流としてあるらしいのだが、複雑さをひけらかすわけでもなく終始美しく、普通にうっとり聴けてしまう。クラシックと何が違うのかというと、おそらく演奏するプレイヤーを具体的に想定して、いわゆる「あて書き」的にアレンジされているところがジャズならではなのではないかと思う。曲によって楽器を持ちかえる(正確には覚えてないけどアルトサックスとクラリネットとか、テナーサックスとバスクラとか)プレイヤーいるのもクラシックだと多分あんまりないことだろうし、ソロイストも曲によって変わる(全員がソロを取れるように毎日セットリストが変わるのだそうだ!)。ソロといえば最前列のダニー・マッキャスリンが他の人のソロをうんうん頷きながら聴いてる姿が印象に残ったな。
特に個人的に面白かったのは最後に披露された新曲で、曲紹介の際には「AIについての曲」と言っていた。それまでの曲と比べてどこかダークで、ディストピア的なビジョンがベースにあるのだと思われる(なんでも、ボウイの影響でダークな世界に興味を持ったのだそうだ)。この路線で新譜が作られるのがとてもとても楽しみ。

なお、各晩につき2回公演ある関係で1回ずつが短かった(1時間半くらい)のがちょっと残念ではある。内容は濃かったからいいんだけど、もうちょっと聴きたかったなあ。

Sky Blue
Maria Schneider
B000UD1VLO

6/4 ストレンジ・ブルー プラス ライヴ at 高田馬場音楽室DX

https://www.instagram.com/p/BU6ZWN4lWjW/
今日の現場

クールスのオリジナルベーシストであるキイチこと大久保喜一による小説『ストレンジ・ブルー・プラス』の発売記念イベントというのがあり、ジェームズ藤木を交えたライブがあるというので駆けつけた。クールスもそのうち観に行かなきゃなんだけどね。
オープン前に会場付近で待っているのは、年季の入った不良の兄さん姉さんたち。男性はリーゼント+アロハというスタイルが多い。ぼくはそこそこ整理番号は早かったんだけど、さすがに最前列はそういう諸先輩たちへの遠慮があるので2列目に(あ、椅子&テーブル席でした)。

最初は大久保喜一と担当編集者によるトーク。今回の復刊に際しての裏話や原宿への思いといった話。
帯の書体が斜体(イタリック)になっているのは著者本人のアイデアだったそうで、その理由というのが「不良は斜に構えるんだ」というのが最高だった(笑)。

30分ほどのトークの後はライブ。大久保喜一(b)、ジェームス藤木(G&Vo)のほか、翔&BLACK BIRDの中村華惠(Dr)、ユウヤ(G)というラインナップでクールスの曲を演奏。全体的に有名曲・代表曲よりはちょっと凝った選曲だったんじゃないかしら。
https://www.instagram.com/p/BU6pCzblxQL/
やばい超かっこいい #cools

MCもリラックスした調子でアットホームな感じなのだが演奏はさすがに最高。何よりびっくりしたのがギターのユウヤ。なんと15歳だというのだが、リーゼント・サングラス・スーツでビシッとキメて奏でる王道のロカビリーギターはちょっとしたベテランの風格だ。2曲ほどボーカルを取ったのだが、これがチャック・ベリーのカバーだったりして、一体どんな15歳なんだっていう。
最後は「それではみなさん、プリーズスタンドアップ」の声で最前列の先輩たちのツイスト大会に。出版記念イベントだからミニライブくらいの感じかなと思ったんだけど、アンコールを含めてしっかり1時間半くらいやってくれて大満足。

本も買ったので、サインもらって写真も撮ってもらいました!

ストレンジ・ブルー プラス 70年代原宿の風景とクールス
大久保喜市
4866470216

泣きながらツイスト
横山剣 クールス
B00ZRNEAHY

ハングリー・ゴッド ([テキスト])
COOLSヒデミツ
4903883108

【41枚目】Inmoh / demo

これまた広島でゲットしたCD−Rである。こちらはフリーで配布されたデモ音源。残念ながら広島のバンドではない(名古屋でした)が、まあ出会ったのも何かの縁ということでいただいてきた。

これがびっくり、10代(高校生!)の3人組による80年代風ジャパニーズハードコアである。高齢化が問題視されているハードコア界ではもちろんすでに話題騒然。エルジンのvol.24でインタビューもされている。ハードコアを聴いている同級生はいないそうだ(笑)。
エルジン vol.24はこちら↓で買えます!)
noiznoiznoiz.stores.jp

初のデモとなるこのCD−Rは3曲入り。「Don't Just Shit There」「BAKA」「SHITAge」と、曲名からして最高でしょ。ヴォーカルはガツンと気合の入ったモヒカン、他のメンバーもクラストっぽい髪型でキメている。
ジャパニーズハードコアに強く影響を受けていることはエルジンのインタビューでも語っているが、あんまりメタルっぽくなくて、ギターが汚い歪み方をしているところが個人的には好み。あと歌い方がちょっと初期SxOxBのトッツァンぽいところがツボだった。喚いてるけどダミ声じゃない感じでポップに聞こえる。

デモCD−Rは500枚ほど手作業で作り、全国のショップで配布されたようだ。ぼくは広島で入手したけど東京のショップにも普通に入荷されていた。さらにはこれが話題を呼んだのか、なぜかウクライナでカセット版もリリースされている(!)。

ライブもそこそこの本数をやっているようだし、東京に来る機会もちょくちょくあるようだ。デモを聴いていても若者ならではのデタラメな勢いが感じられるので、是非ライブも見てみたいバンドの一つだ。やっぱ若くてかっこいいバンドを見つけると嬉しいじゃないですか。

6/3 アルナングシュ・チョウドリィ at Sasaya Cafe

タブラのチョーさんことアルナングシュ・チョウドリィ1年ぶりの来日公演。今回もチョーさんの弟子きゅうりさんとシタール奏者ヨシダダイキチさんのトリオで、都内2公演のうちの1日目に行ってきた。


Sasaya Cafeというのはたぶん倉庫か何かを改装したものなのだろうか。天井が高く、カフェスペースもギャラリースペースも広い。以前にもここでインド音楽の催しが行われたことがあるそうだ(同行した知人がそんなことを言ってた)。

まずライブ前にカレーが出るのだがこれがかなりのクオリティである。プレート上に乗せられた料理はかなり品数豊富。ちょっと食べたことないようなものも含まれていて楽しい。


カフェスペースで食事を済ませた後、ライブは隣接したギャラリースペースで行われる。本公演の前に飛び入り?でインド舞踊も披露された。チョーさんとダイキチさんの演奏をバックに踊るのだが、素人のイメージするインド舞踊(なんかこう、首を横にカクカク動かすようなやつ)はあんまりなくて、意外とモダンな印象。モダンな味付けが施されたものなのか、それともインド舞踊って本来そういうものなのかは残念ながらこちらの知識不足につきわからない。

ダンスの後、ほとんど間を空けずに本公演スタート。最初の方はゆったりと始めつつ、だんだんとヒートアップしていく展開はDOMMUNEで見た時と変わらないが、やはりタブラの低音の響き方、高音がスコーンと脳天に抜けるような響き方は生で聞くと全然違う。
あと、シタールの演奏が全体にギターっぽい気がした。古典音楽を演奏していても即興主体だと、演奏者の地が出るのだろうか。
インド音楽っていうとこれまた素人のイメージだと、ジャラーンとシタールを鳴らしてゆったりとした演奏がかなり長く続くようなものを想像するのだが(拍子とか小節の切れ目も曖昧だったりするような)、シタールのフレーズは結構ロック的に拍子がカウントしやすいものだし、30分くらいでテンションが上がった後はかなり激しいフレーズの応酬になっていて、見てる方もかなり燃えるものがあった。
1時間半ノンストップの演奏だったのだが、これなら3時間くらいやってくれても全然楽しめる気がする。現地まで行けばそういうのが見られるのだとしたら、一度インドに行ってみるのもいいかもしれない(腹下しが心配でなかなか行けずにいるのです)。

ちなみにこの三人で、インドの両国国技館みたいな由緒ある会場で演奏した際のライブ録音がCD担っており、会場で先行販売されている。いずれ一般流通もするそうだが、もう1公演あるのでせっかくだから6/7のライブに行ってゲットされてはいかがかしら。

6/7(水) 武蔵野公会堂ホール/吉祥寺
OPEN 7:00pm START 7:30pm
予約3,500円 当日4,000円