ミルドレッド・ピアース
BSで録画してあったもの。いちおうジャンルとしてはフィルム・ノワールになるのかな(螺旋階段が出てくるので、『ゴシック・カルチャー入門』のフィルム・ノワールの章を読んだひとは注目だ)。
豪邸みたいなところで、金持ちっぽい男が撃たれて死ぬ場面から始まる。続けて、妙齢の婦人が男をバーから別荘に連れていき、そのまま男を閉じ込めて自分は出ていく。残された男は室内で死体を発見、慌てて逃げ出し、通りかかった警察に死体を見つけたと告げる。
その後、先ほどの婦人が警察署にいる。殺されたのは彼女の夫だったのだ。そこへ彼女の元夫が連れられてくる。警官は彼が容疑者だと言う。彼女は、彼は絶対に犯人じゃない!と主張し、自分の過去を語り始める……。
彼女は元夫と別れ、それまでの豪勢な暮らしを捨ててウェイトレスとして自立、やがて自身で店を構えることになる。その物件を売ったのが遊び人の放蕩息子みたいな男なのだが、やがて彼に惹かれていき再婚することに。一方で彼女には娘がいるのだが、娘は贅沢な暮らしが身についてしまっており、母親のことは完全にバカにしている。しまいには、お母さんは生まれが卑しいからいくら事業で成功しても社交界には入れないとかひどいことを言う始末。母の再婚相手の派手な生活に憧れて一緒に遊び回り、その夫も妻のことは金づるくらいにしか思ってないのがだんだん明らかになってくる……。
ラストの展開はよくできてるしと思うし、アメリカにもなんだかんだで厳然と存在する階級差みたいなものを描いているとも言えるのだが、とにかくこの夫と娘がクズすぎて、実につらい気持ちになる映画だった。ケイト・ウィンスレット主演でドラマ化もされてる模様。